中国リスクとユーロ相場
株式市場の不安定化を背景に円高圧力が高まっています。筆者が注目しているのがユーロ円です。その理由は?ユーロ円が下落している要因は?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・中国リスクとユーロ相場
5月以降、外為市場では円高圧力が高まり、主要な先進国通貨に対して円は総じて上昇している。特にオセアニア通貨に対する上昇が際立っているが、これは米中貿易摩擦を主因とした中国の景気減速リスクが意識されているためである。より注視すべきはユーロのパフォーマンスである。このレポートの執筆時点で、円はユーロに対して約4%上昇している(年初来騰落率)。だが、筆者が注目しているのは騰落率ではなく、5月以前のリスク選好相場(=株高局面)における対円でのパフォーマンスである。この期間、ユーロ円は他のクロス円と一線を画し、円高と円安の水準を右往左往する状況が続いた。2018年以降、減速傾向にある域内経済がユーロ相場の重石となっていることはこのレポートで何度も指摘してきたが、その域内経済が減速した主因はドイツ経済の低迷にある。そして近年、ドイツ経済は中国経済との関係を深化させてきた事実を考えるならば、中国の景気減速リスクはオセアニア通貨といった資源国通貨やリスク性の高い新興国通貨のみならず、ユーロ相場のトレンドをも大きく左右していると考えられる。実際にユーロ圏、ドイツそして中国のGDPの推移を確認すると2018年以降同じ軌跡を描き、それに伴いユーロドルおよびユーロ円も緩やかな下落トレンドを形成している。そして、上述した今年の対円パフォーマンスも考えるならば、現状中国リスクの影響を最も受けやすいのはユーロであると考えられる。現在の米中対立が今月下旬のG20会議まで続く可能性が高いことを考えるならば、ユーロ円は調整の反発を挟みながらユーロ安/円高優勢で推移する展開を想定する。
【GDP推移】
・ドル円とユーロドルの展望
週明けのドル円は108円台の維持が焦点となろう。このレベルはフィボナッチ・プロジェクションの50.00%の水準にあたる。また、ビッドが観測されている他、オプションバリアの攻防も想定される。トレンドは引き続き株式動向次第だが、米株が続落する場合、108円ブレイクの107.50トライを警戒したい。この水準は今日時点で、21日MAからマイナス2%のかい離する水準である(21日MAの水準が変化する場合マイナス2%の水準も変化する)。トランプ米政権が発足した2017年以降のトレンドを確認すると、21日MAを挟んで上下にプラス / マイナス2%の水準でトレンドが転換するパターンが見られる。一方、上値の焦点は109円台への再上昇となろう。108.80および109.00にはオファーの観測あり。
今週のユーロドルは、目先短期レジスタンスラインの攻防が焦点である。このラインは今日現在、1.1195前後で推移している。「米金利の低下→米ドル安→ユーロの買戻し」によりこのラインを突破する場合、1.12台の攻防へシフトする展開を予想する。だが、上述したとおり中国リスクが意識される状況が続く限り、上昇幅は限定的となろう。1.1250レベルからの反落リスクは引き続き警戒すべきである。1.1200および1.1250にはオファーが観測されている。1.1200にはオプションバリアの攻防が想定される。一方、下値の焦点は1.11台の維持で変わらず。1.1110ブレイクは1.1100トライのシグナルとして警戒したい。これらのレベルにはビッドが観測されている。
【ドル円】
【ユーロドル】
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