Analysis Highlights
・FEDのハト派スタンス傾斜を再確認
9日の海外外為市場は米ドル売り優勢の展開となった。この日のFEDスピーカーの言動を確認すると、金利は中立水準に近づき(ボスティック・アトランタ連銀総裁)、貿易問題による先行き不透明感が高まると同時にインフレは抑制状態にあるとし(エバンス・シカゴ連銀総裁)、追加の利上げを決定する前に経済動向を見極めることの必要性(ローゼングレン・ボストン連銀総裁)について言及してきた。一方、FOMC議事録(2018年12月18日~19日開催分)でも同様に、世界経済の先行き不透明感とそれに伴う金融市場の不安定化に言及すると同時に、インフレは安定しており(数人のメンバーは懸念を表明)し、今後の金融政策は経済情勢次第であるとした。キーマンたちの言動とFOMC議事録の内容から、今月4日のパウエル発言は個人的見解ではなく、ハト派傾斜がFEDのコンセンサスとして確立されていることがわかる。米ドル高の土台だった米金融政策が転換した以上、今年は米ドル安の局面が多く見られよう。その圧力の相殺要因として注視すべきは米株である。「株高→長期金利の低下圧力後退→利回り格差の拡大」の状況下では米ドルを買い戻す動きが見られよう。米株が現在の反発基調を維持することができるか否か、この点は指標データと企業決次第である。
・ドル円は株式にらみ ユーロドルは1.15台の維持が焦点
本日のドル円は株式にらみの展開となろう。昨日はFEDスピーカーの言動、FOMC議事録そして米政治リスクが米ドル安圧力を高めた。一時108円を割り込む局面が見られたが、米株が底堅さを維持したことでレポート執筆時点では108円台を維持している。ボラティリティ(VIX)が警戒水準の20ポイントを割り込んでいる状況を考えるならば、米株の反発基調維持により108円台を中心とした売り買い交錯相場を想定。だが、米国政治が混乱している状況を考えるならば、調整の反落リスクも警戒したい。このケースでは、昨日相場をサポートしたプロジェクション23.60%の107.94レベルの攻防を注視。107.94を下方ブレイクする場合は、オプションバリアの攻防が想定され且つプロジェクション38.20%の水準である107.24レベルが次の下値ターゲットとなろう。一方、上値は109.00の突破が焦点となろう。だが、米ドル圧力が高まっている状況では109.00前後までの戻りが限界と想定している。
ユーロドルは想定通り1.15トライとなった。今日以降は、1.1500がレジスタンスからサポートへ転換するかどうか、この点を見極めることが重要となろう。米ドル安圧力が高まっている状況を考えるならば、1.15台を維持したまま上値トライの展開を想定している。目先はリトレースメント61.80%の水準1.1585の突破が焦点となろう。これを達成する場合は、1.1600トライを意識したい。1.1560にはオファーの観測あり。1.1600ではオプションバリアの攻防が想定される。
【チャート1:ドル円】