米国指標データと英国下院採決の行方
今週も引き続き米国の指標データが重要な材料となります。一方、英国下院にる離脱協定案を巡る採決の動向も投資家のセンチメントに大きな影響を与えるでしょう。詳細は本日のマーケットレポートをご参照ください。
Analysis Highlights
・焦点であり続ける米指標データ
2月の米雇用統計は強弱まちまちの内容となった。雇用者数変化は市場予想(18万人)をはるかに下回る2万人となった一方、失業率は4.0%から3.8%へ低下。また、個人消費の動向に影響を与える平均時給(前年同月比)は3.4%増と、前月の3.1%から堅調な伸びを示した。寒波や政府機関の閉鎖というノイズを考えるならば米国の労働市場は未だに堅調さを保っている。冴えない雇用者数の動向に米株がヒステリックな急落で反応せず、またVIXおよびVXNの両指数が警戒水準の20ポイント以下で未だ推移し続けている状況も考えるならば、投資家のリスク選好スタンスは根強いと言える。今週も引き続き米国の指標データが投資家のセンチメントに影響を与えよう。特に注目すべきは、3月11日の2月小売売上高および15日の3月NY連銀製造業景気指数の結果である。総じて市場予想を上回る内容が確認される場合、米株と長期金利の反発を想定する。外為市場では米ドル高となろう。逆に市場予想を下回る内容が続く場合は、米株の調整継続と金利低下により米ドル安優勢となろう。このケースでは円高圧力の高まりを想定する。
・英国下院採決の行方と英ポンドのシナリオ
今週、投資家のセンチメントを左右するもうひとつのイベントが、12日の英国下院議会によるEU離脱協定案の再採決である。1月15日の採決では大差で否決された。2度目の否決となれば、その後の動向次第で英ポンドのトレンドが左右されよう。英ポンドの急落シナリオとして警戒すべきは「No deal BREXIT(合意なき離脱)」が採択されることである。英国領である北アイルランドとEU加盟国アイルランドとの国境管理問題を巡る「バックストップ」が、「EUによる英国縛り」の原因になりかねないと離脱強硬派は主張している。現在までの報道を俯瞰すると、「No deal BREXIT」だけは何としても避けたいとの思惑が大勢を占めているが、ここまでの英国政治の混乱を考えるならばリスクシナリオとして警戒しておきたい。
一方、離脱日(3月29日)の延期を採択する場合、英ポンドの上昇シナリオと想定する。だが、このケースで注意すべきは、延期が採択されてもその期間が3か月程度であることをメイ首相が主張していることである。よって、「No deal BREXIT」を回避した英ポンド上昇の持続性は、上述した米国の指標データとそれを受けた米長期金利の動向に左右されよう。尚、EU離脱協定案が採択される場合は「No deal BREXIT」を回避した安心感と経済の先行き不透明感が交錯することで英ポンドは売り買いが交錯する展開を予想する。下値はフィボナッチ・プロジェクション(青ライン)とリトレースメント(黄ライン)の各ポイントでの攻防を注視したい。
【英ポンド/ドルチャート】
・今週もドル円とユーロドルは米指標データにらみ
今週のドル円は株式動向にトレンドが左右されよう。特に注視すべきは米株の動向だが、上述した指標データでトレンドが左右されよう。良好な指標データの結果が確認される場合、米株および長期金利の反発を背景に112円を目指す展開を想定する。逆に市場予想以下の結果が続くならば、1月4日安値107.50を起点とした短期サポートラインの攻防が焦点となろう。このラインの下方ブレイクは110.00トライのシグナルとして警戒したい。尚、14~15日に日銀金融政策決定会合が開催される。政策変更の可能性が低いが、先行き警戒レベルを引き上げると同時に追加緩和スタンスを鮮明にする場合、一時的な円売り圧力を高める要因となり得る。
一方、ユーロドルは米独金利の動向次第でトレンドが決定されよう。ドル円同様、米指標データが金利動向を左右するだろう。良好な指標データにより米独利回り格差が拡大するならば、今月7日安値1.1174の維持が焦点となろう。一方、冴えない米指標データが続く場合は、米金利低下とそれに伴う米ドル売りがユーロ相場をサポートしよう。このケースでは21日MA(今日現在1.1313前後)の突破が注目される。
【ドル円チャート】
【ユーロドルチャート】
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