悲観優勢の市場 トレンドは米中通商交渉の報道次第
米中貿易摩擦に対する思惑が交錯しています。昨日の各市場を観ると悲観的な見方が優勢となっています。今日も米中通商交渉にらみの展開となるでしょう。焦点は交渉に関するヘッドラインです。ポジティブ報道が流れる場合、これまでのトレンドが一変する可能性があります。詳細はマーケットレポートにて。
Analysis Highlights
・悲観優勢の市場 トレンドは米中通商交渉の報道次第
現在のところ米中貿易摩擦に対する市場の思惑は、楽観的な見方と悲観的な見方が交錯している。9日のレポートで指摘したナスダック100(ハイテクセクター)のボラティリティ指数(VXN)を確認すると、一時的にせよ25ポイントの水準を突破した。VIXも警戒水準の20ポイント前後で上下に振れる展開となっている。また、米長期金利が低下し、NY金先物(6月限)が反発した状況も考えるならば、現状、悲観的な見方が優勢と言える。本日日本時間午後1時01分にトランプ米政権サイドは、2000億ドル分に相当する中国製品への制裁関税(10%→25%への関税引き上げ)を発動する。中国もすかさず報復措置を講じるだろう。よって、本日もリスク回避相場がベースシナリオとなろう。特に注視すべきは米株、それも株高のけん引役であるハイテクセクターの動向である。上述したとおりVXNは25ポイントの水準を突破しかけている。完全に突破する場合、ハイテクセクターを中心に米株には調整圧力が高まろう。米株が崩れる場合、長期金利にも低下圧力が高まろう。米金利の低下は外為市場での米ドル安圧力を高める要因である。だが、株安というファクターも考えるならば、米ドル以上に新興国通貨に対して売り圧力が高まろう。この点は、昨日の動向が示唆している。一方、買い圧力が最も高まるのが日本円となろう。この点も昨日の動向が示唆している。
上記のベースシナリオを崩す唯一の要因は、米中通商交渉に関するポジティブ報道である。このケースではリスク選好相場(=株高 / 金利上昇)と米ドル高を予想する。
【米株のボラティリティ指数】
・ドル円とユーロドルの展望
今日のドル円は株式動向でトレンドが左右されよう。重要サポートポイント109.70を一時的にせよ下方ブレイクしたことでさらなる下落シグナルが点灯。短期リスクリバーサル(1週間 / 1ヶ月)も低下基調を辿っている。上述したベースシナリオ通り米株が崩れるならば、フィボナッチ・プロジェクション38.20%の水準108.73を視野に下落幅の拡大を警戒したい。一方、米中通商交渉に対するポジティブ報道がある場合は、反発を予想する。このケースでは10日MA(110.76前後)の突破が焦点となろう。110.80から111.00にかけては断続的にオファーが観測されている。
ユーロドルは売り買い交錯を想定。昨日は短期レジスタンスラインの突破に成功した。また、ドル円とは対照的に短期リスクリバーサル(1週間 / 1ヶ月)は上昇基調を維持している。だが、1.12ミドル以上からの売り圧力が健在である状況を考えるならば、目先の上限を1.1250-70ゾーンと想定したい。このゾーンにはフィボナッチ・プロジェクション100%の水準が位置する他、断続的にオファーも観測されている。一方、下値の焦点は短期サポートラインの維持で変わらず。このラインは今日現在、1.1155前後で推移している。1.1150にはビッドの観測あり。
【ドル円】
【ユーロドル】
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