米中指標データとキーマン達の言動
トランプ発言によりリスク回避は一服ムード。投資家のリスクセンチメントが改善傾向をたどるかどうか、今日は米中の指標データおよび貿易摩擦に関係するキーマン達の言動の有無に注目です。詳細はマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・米中指標データとキーマン達の言動
14日の海外株式市場では、欧米そして主要な新興国の株価指数が軒並み上昇した。米中貿易摩擦の激化を背景としたリスク回避ムードはひとまず後退しつつある。投資家のリスクセンチメントがさらに改善するかどうか、本日は米中の指標データが鍵を握ろう。東京時間11時に中国の4月小売売上高と同月鉱工業生産が発表される。前者については昨年11月に底を打ち(前年同月比8.1%)、その後は改善傾向にある。一方、後者も3月に前年同月比8.5%と約4年半ぶりの高い伸びを示した。これら改善の背景にあるのが政府による景気刺激策の効果である。今回も総じて市場予想を上回るならば、政策効果の浸透期待を背景に投資家のリスクセンチメントは改善傾向をたどろう。このケースでの外為市場は、新興国通貨および資源国通貨の買いおよび円売り優勢の展開を想定する。逆に総じて市場予想を下回る内容となれば、外為市場では新興国通貨や資源国通貨に対する売り圧力が高まろう。円相場は株式動向次第でトレンドが決定されよう。一方、米国の指標データでは4月小売売上高および5月NY連銀製造業景気指数が、米国市場および米ドル相場のトレンドに影響を与えよう。どちらも前回から低下する見通しとなっている。米中貿易摩擦が激化しているタイミングでこれら指標データが市場予想以上に落ち込む場合、米株の上値が抑制され米長期金利には再び低下圧力がかかろう。外為市場では再び円買い圧力が高まろう。逆に市場予想以上ならば、米国市場のリスク選好を背景に米ドル高優勢の展開となろう。
米中の指標データ以外で注視すべきは、貿易摩擦に関係するキーマン達(特にトランプ米大統領)の突発的な言動である。昨日はトランプ発言(We’ll let you know in three or four weeks if it’s successful-中国との交渉が成功かどうか約3~4週間以内に知らせる)がリスクセンチメント改善の要因となった。
・ドル円とユーロドルの展望
今日のドル円は、リスク回避ムードの一服を背景に底堅い展開を予想する。上値の焦点はオファーとオプションバリアの攻防が想定される110.00となろう。110円台へ再上昇する場合は10日MA(110.19前後)の攻防が次の焦点となろう。このMAは先月26日以降、レジスタンスラインとして上値を抑制している。一方、冴えない米中の指標データや貿易摩擦の懸念を高めるような言動がある場合は、プロジェクション38.20%の水準109.05の再トライを警戒したい。すぐ下の109.00にはビッドの観測あり。
ユーロドルは下落リスクを警戒したい。直近2日は長い上ヒゲが示現しての陰線引け。1.1260-70ゾーンのユーロ売り圧力の強さをあらためて認識させられた。短期リスクリバーサル(1週間 / 1ヶ月)の上昇トレンドも終息している。昨日の独ZEW景況感調査であらためて米独のファンダメンタルズ格差が確認されたことも考えるならば、1.11台の攻防シフトを想定したい。テクニカル面では1.1110(4/26安値)を起点とした短期サポートライン(1.1170)の維持が焦点となろう。
【ドル円】
【ユーロドル】
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