揺れ動く中国経済への思惑
昨日は原油安、米株安、そして新興国通貨安となりました。様々な要因が絡み合っての結果ですが、個人的に注視しているのは中国経済に対する市場の観測もしくは報道です。なぜこれらの点に注目するのか?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
Analysis Highlights
・揺れ動く中国経済への思惑
24日の米債市場では、各タームの金利に低下圧力が高まった。世界経済に対する不透明感が再び高まったことに加え、中国人民銀行(PBOC)が預金準備率をさらに引き下げるという観測を否定したことで同国の経済に対する楽観的な見方が後退。米株は主要3指数が反落し、米長期金利(10年債利回り、以下米金利)は2.5180%と、今月12日以来の水準まで低下する局面が見られた。しかし、米ドル相場は主要通貨に対して総じて上昇した。特に主要な新興国通貨に対する上昇が目立った。米金利の低下が新興国通貨のサポート要因となるためには、株高が前提となる。昨日は「株安・金利低下」という典型的なリスク回避相場だった。このためリスク性の高い新興国通貨に売り圧力が高まった。一方、先進国通貨ではカナダドルの下落が目立った(対米ドル)。カナダ中銀(BOC)のハト派スタンスと原油安が要因だが、オセアニア通貨の下落幅が拡大した状況を考えるならば、中国経済に対する楽観的な思惑が後退している可能性がある。そうであるならば、原油価格の上昇は抑制されよう。また、米金利の上昇圧力も後退しよう。
昨日の外為市場で筆者の興味を引いたのが、ユーロ相場である。独IFO企業景況感指数は99.2と市場予想(99.9)を下回った。これを受けユーロドルは、重要サポートポイント1.1174(3/7安値)を大陰線で一気に下方ブレイクし、1.1139までユーロ安が進行した。しかし、オセアニア通貨と主要な新興国通貨(中国元を除く)に対しユーロは上昇した。弱気相場が続くユーロ以上に下落圧力が高まった上記の通貨は中国経済とかかわりが深い。これらの動向も中国経済に対するこれまでの楽観的な見方が後退している可能性を示唆している。
【ユーロ相場の動向】
・ドル円は反落を警戒 ユーロドルは米指標データにらみ
米株のトレンドは崩れていないが、世界経済に対する不透明感を意識した一時的な調整(反落)の可能性がある。よって、ドル円も反落を警戒したい。だが、米株が大きく崩れない限り、ドル円の下落幅は限定的だろう。焦点は111.60レベル(リトレースメント50.00%)の維持である。このレベルから111.30にかけては断続的にビッドが観測されている。一方、上値の焦点は昨日高値112.39の突破となろう。112.40-50のゾーンにはオファーの観測あり。
ユーロドルは、米指標データにらみの展開となろう。良好な米指標データが確認される場合、昨日安値1.1139の下方ブレイクと1.1100トライを想定する。1.1100にはビッドが観測されている。一方、冴えない米指標データにより反発する場合は、1.1180台への再上昇が焦点である。これまで相場をサポートしてきたこのレベルで上値がレジストされる場合、ユーロドルのレンジが下方へシフトする可能性を意識したい。
【ドル円】
【ユーロドル】
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