米中対立報道と個別要因
現在、外為市場では明確なトレンドが見られません。引き続き米中対立報道、特にハイテクセクターに影響を与える報道の有無でトレンドが左右されるでしょう。また、明確なトレンドがない状況では、個別の要因にも注目です。詳細はマーケットレポートにて。
Analysis Highlights
・米中対立報道と個別要因
22日の米国市場はリスク回避相場(=株式反落/長期金利低下)となった。だが、S&P500指数のボラティリティ(=20日間の標準偏差を年率換算)を確認すると、昨年後半のように急上昇するムードは見られない。また、オプション価格から算出される米株の各ボラティリティ指数(VIX / VXN)も未だ警戒水準の20ポイント以下での推移が続いている。米中対立は相場の重石だが、多くの投資家は事の成行きを冷静に見ていることを現在の米国市場は示唆している。
この点は外為市場も同様である。今月10日以降、トランプ米政権サイドから米中対立懸念を後退させる(=株価の安定化を図る)発言が相次ぎ、その結果先週からリスク性の高い新興国通貨の一部は、対米ドルでプラス圏へと持ち直している。最も下落圧力が高まったブラジルレアルも、今週に入り買戻し優勢となっている。リスクセンチメントが揺れ動く中、外為市場のトレンド決定要因は引き続き米中対立に関する観測報道となろう。特に注視すべきはハイテクセクターの急落要因となるネガティブ報道である。ハイテクセクターに売り圧力が高まれば米株全体の下落をけん引し、米金利の低下圧力を高めよう。結果、外為市場では日本円とスイスフランの買い圧力が高まろう。この点は昨日の動向が示唆している。米中対立報道以外で注視すべきは個別の要因である。例えばユーロドルは現在、緩やかな下落トレンドを形成し、重要サポートポイント1.1110(4/26安値)を目指す展開となっている。このタイミングで本日のユーロ圏とドイツの各指標データ(5月IFO企業景況感指数)が総じて市場予想を下回る場合、上記のサポートポイントをトライする可能性が高まろう。ドル円は引き続き株式動向を注視したい。また、メキシコペソ、ロシアルーブルそしてカナダドルは、原油価格の動向でトレンドが左右されよう。
【米株の各ボラティリティ動向】
・ドル円とユーロドルの展望
本日のドル円は売り買いを予想する。トレンドは引き続き株式動向次第となろう。上値の焦点を21日MA(110.50前後)、下値の焦点を10日MA(109.95前後)と想定。株高(特に米株高)を背景に前者のMAを上方ブレイクする場合、次のターゲットは110.80レベルとなろう。一方、株安により後者を下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・プロジェクション38.20%の水準109.05が次のターゲットとなろう。110.80にはオファー、109.00にはビッドがそれぞれ観測されている。
ユーロドルは上値の重い展開を予想する。攻防分岐の水準は1.1130と想定。このレベルにはビッドが観測されている。1.1130の攻防の行方は上述した指標データとなろう。総じて冴えない内容が続く場合は、重要サポートポイント1.1110トライを予想する。逆のケースでは1.1200を上限に、まずは今週相場をレジストしている1.1180レベルの突破に成功するかどうか、この点に注目したい。1.1190から1.1200にかけては断続的にオファーが並んでいる。
【ドル円】
【ユーロドル】
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