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外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません 外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません

立ちはだかる米通商政策リスク

Market Overview

7日の海外外為市場は、明確な方向感が見られなかった。次の材料待ちムードが漂う中、米ドル相場は米金利の上昇にサポートされ堅調に推移した。ドル円は114.14レベル、ユーロドルは1.0556レベルまで米ドル高が進行。ただ、市場はイエレンFRBによる3月利上げを織り込み済みであること、1月の米貿易統計で赤字額が前月比9.6%増の484億9000万ドルと、4年10カ月ぶりの高水準まで拡大したことで米ドル買い圧力は後退。NYタイムに入るとドル円は113円後半、ユーロドルは1.05後半で売り買いが交錯する展開となった。
米国株式だが、この日も利益確定売り優勢の展開となった。トランプ米大統領はツイッターで薬価の引き下げにより製薬業界の競争を促すと投稿。また、国際商品市況の軟調地合いも合わさり、製薬株と資源株が下落のけん引役となった。だが、トランプ政策への期待は未だ根強く主要3市場の下落幅は限られた。NY原油先物4月限は、米国の石油在庫増への懸念が意識され続落。ただ、過剰供給懸念の後退観測やロシアの減産目標達成に対する期待が相場をサポートしたため、下落幅は限定的だった(前日比0.06ドル安の1バレル53.14ドル)。

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Analyst's view

3月利上げを織り込んだ米金利(10年債利回り)は、2.5%台の水準にしっかりと乗せてきた。直近の急反発により米株とのパフォーマンスかい離も急速に縮小している(チャート①参照)。だが、今年に入りトランプ相場からいち早く脱落した米ドル相場(ドルインデックス)の上昇幅は限られ、年初来パフォーマンスは未だマイナス圏を漂っている(チャート①参照)。米ドル相場の中でも注視すべきは、ドル円の動向だろう。米国市場が株高(=円売り要因)と米金利上昇(=米ドル買い要因)という共存関係に回帰しつつある状況下にあっても、ドル円は114円台で上値の抑制状態が継続中。チャート②では、日米10年債利回り格差とドル円の動向を比較しているが、今年に入りドル円が利回り格差に追随できず、かい離が発生する局面が散見されている。しかも直近は、その格差が拡大傾向にある。米金利の上昇(日米利回り格差の拡大)にドル円が追随できない主因が、米通商政策(=米ドル安政策)リスクにあることはこのレポートで指摘済み。そして今後、このリスク要因がドル円の下押し圧力を強める可能性が出てきた。国家通商会議(NTC)のナバロ委員長は2国間協議を通じた貿易赤字の是正に意欲を示しているが、その最新の赤字額は上記の通り2012年3月以来、4年10カ月ぶりの高水準まで拡大した。対日赤字は54億7300万ドルとなり前年同月比で12%の増加。大半を占めたのが自動車関連(44億ドル)となった事実は、トランプ政権の通商政策に期待を寄せる米自動車業界のさらなる反発を招くだろう。また、国別で中国に次ぐ第2位の赤字額となった点もトランプ政権サイドの攻撃材料となろう。リスク回避のムードが強まっているわけではないので、現状ドル円が急落する可能性は低い。だが、米株で調整ムードが強まりつつある状況も考えるならば、目先の上限は115.00レベルと想定したい。一方、下値トライの材料として注視すべきは①トランプ政権サイドの保護主義発言(米ドル高けん制発言)、②米株の調整相場入りだろう。目先の下限は111.60レベルで変更なし。このレベルを下方ブレイクする要因としては、トランプ政策への失望による米株の深い調整にあると想定している(トランプ政策への不透明感→米株の深い調整→米金利低下→ドル円下落)。


【チャート①:米株、米金利、米ドル相場の比較】

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【チャート:ドル円、日米10年債利回り動格差の比較】

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