Analyst's view
コミー前米連邦捜査局(FBI)長官は、この日開かれた米上院情報特別委員会の公聴会でトランプ政権の対応を非難した。ただ、米国市場が冷静に「株高 / 金利上昇」で反応し、且つVIX指数が低下へ転じた事実は、現状「ロシアゲート」がリスク回避要因として市場で意識されていないことを示唆している。特別検察官に任命されたモラー氏の捜査次第でこの問題が再び市場の変動要因となる可能性はあるだろうが、少なくともトランプ相場から脱却した米株は堅調推移が続く可能性が高い。一方、米金利は、未だ米国の政治動向と連動する局面が多く見られる。事実、株式とのパフォーマンスかい離が鮮明となっている(チャート①参照)。よって、トランプ政権の政策運営能力に対する不透明感が払しょくされない限り、米金利の低空飛行状態は継続しよう。米株よりも米金利との相関性が高まっている米ドル相場も上値の重い状況が続くことを想定している。
目先のドル円の焦点だが、トップサイドは5月高値114.37レベルを起点とした短期レジスタンスの攻防となろう。通貨オプション市場でドルコールの需要が高まらない現状を考えるならば、現時点ではこのラインまでの戻りが限界と想定したい。レジスタンスラインで上値がレジストされる場合、109円割れ&108.13トライの可能性を常に意識したい(チャート②参照)。
一方、同日に開催されたECBイベントも波乱なく終了した。声明では2017~19年のインフレ見通しを引き下げた。また、ドラギ総裁は理事会後の会見でテーパリングの議論はなかったと表明。これらECBイベントの内容を受け米独利回り格差が拡大。結果、ユーロドルは調整色を強め1.12割れの局面が見られた。ただ、通貨オプション市場ではリスクリバーサルに大きな変動は見られない。また、政治リスクに直面する米国とそのリスクが後退した欧州という真逆の政治状況や上述した米金利の低空飛行状態も考えるならば、ユーロドルの1.13トライの可能性は未だ残る。一方、下値の焦点だが、本日は一目転換線(日足)および21日MAの攻防を注視したい(チャート③参照)。