Market Analysis
本日の焦点は2つ。ひとつは3月の米雇用統計となろう。米国政治リスクが意識されている状況にある以上、市場は堅調なファンダメンタルズにリスク選好継続の拠り所を見出そうとするだろう。米長期金利が緩やかな上昇基調にある状況も考えるならば、強い雇用統計はリスク選好相場をサポートし、外為市場では「ドル高 / 円安圧力」が強まろう。逆に冴えない結果となれば、逆の展開を想定したい。詳細は、今月2日および5日のレポートを参照されたし。
もうひとつの焦点は、日本時間7日02時30分に予定されているパウエルFRB議長の講演となろう。経済見通しについて講演する予定だが、焦点はインフレ動向に関する発言の有無となろう。FED自体、景気判断については強気のスタンスを維持している。しかし、今年3回の利上げペースは維持されている。この背景には、インフレに対する根強い警戒感がある。先月21日の会見ではパウエル氏自身がこの点ついて言及しているが、今回の講演でもインフレへの警戒感をにじませる発言があれば、株高トレンドは維持するだろう。一方、米長期金利の上昇圧力は抑制されよう。このケースでは、米ドル安圧力が強まると同時に、円相場は「株高 / 米ドル安」を背景にクロス円が円安の軸となろう。逆に、良好な指標データを根拠にインフレ見通しについて楽観的な見方を示す場合、米株は金融政策リスクが意識されることで利益確定売り優勢の展開を警戒したい。一方、米長期金利は緩やかな上昇トレンドを維持しよう。外為市場では米ドル高圧力が強まろう。この場合、ユーロドルは1.22割れを警戒したい。一方、クロス円は「株売り / 米ドル高」を受け軟調地合いとなろう。ドル円は株安の方に敏感に反応し、上値の重い展開となろう。
チャートポイントだが、ドル円は米雇用統計前に重要レジスタンスポイント107.29の突破に成功している。リスク選好相場へ回帰している点を考えるならば、オファーが観測されている107.50-60レベルも突破し、108.00トライの可能性が高まってきた。尚、このレベルにもオファーの観測あり。一方、パウエル講演で株安圧力が強まる場合は、今週サポートラインとして意識されている10日MAの維持が焦点となろう。
一方、ユーロドルは1.2200が本日の攻防分岐と想定したい。2つの米国イベントでこのレベルを下方ブレイクする展開となれば、3月1日安値1.2153を視野に下落幅の拡大を警戒したい。1.2150にはビッドが観測されている。一方、上値の焦点はレジスタンスラインとして意識されている21日MAとなろう。
【チャート①:米長期金利 / 米株ボラティリティ】