Market Analysis
今週の注目イベントは2つ。まずは11日の英議会下院による欧州連合(EU)離脱協定案の採決に市場の関心が集まろう。英国の下院定数は650人。うち保守党の全下院議員は315人。閣外協力の北アイルランド地域政党DUP10人と合わせて与党は325人となっている。EU離脱協定案の可決には議長、副議長そして採決に加わらない議員を除く320票の賛成票が必要となる。しかし、現地の報道を確認する限りでは否決される可能性が高い。よって、焦点は「負け方」にある。修正案を再採決に持ち込むことができない程の否決となれば(例えば200票前半もしくはそれ以下)、野党労働党主導による内閣不信任投票の流れとなろう。このケースでは英ポンドの急落を警戒したい。否決されても修正案を再び採決できる可能性が残る結果となれば、①否決の可能性は市場も織り込んでいること、②米長期金利の低下傾向により米ドル高圧力が後退しているタイミングであることから、英ポンドの下落は短期で収束すると想定している。一方、離脱協定案が可決される場合は、英ポンド買いを想定している。目先の下値の焦点は1.26台の維持となろう。下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・プロジェクションで下値ターゲットを探る展開となろう。再採決の可能性が潰える場合、プロジェクション61.80%の水準1.2170レベルをトライする展開を警戒したい。一方、可決の場合は、節目の1.30を視野に戻り高値を探る展開となろう。
もう一つの注目イベントは、13日のECB理事会である。焦点は、金融機関の流動性ひっ迫を避けるための新たな方策の導入と利上げについての議論となろう。ユーロ相場の動向を見極める上でより重要なのは後者である。ユーロ圏経済は2017年Q4をピークに景気が減速傾向にある。さらに米中貿易摩擦の長期化によって、米中双方の景気減速懸念も台頭している。ドラギECB総裁が先行きリスクに警戒感を示し利上げ開始のタイミングを2019年後半から2020年以降になるシグナルを発信するならば、ユーロ相場には売り圧力が高まろう。今週のユーロドルは英議会採決の動向も合わせて考える必要がある。英議会が離脱協定案を否決し且つECBの利上げが2020年以降になる公算が高まるならば、1.13割れを警戒したい(言い換えればリスク回避の米ドル買い)。このケースでは、1.1250レベルの維持が焦点となろう。このレベルをも下方ブレイクする展開となれば、重要サポートポイント1.1213レベルおよび1.1200トライを警戒したい。一方、離脱協定案が可決され、ドラギECBが2019年後半の利上げの可能性を示すならば、レジスタンスポイントの1.1450を突破し、1.1500をトライする展開を想定している。
【チャート①:ポンドドル】