Analyst's view
12日の外為市場も調整相場となった。ドル円は「株高+金利上昇」を背景に、7月高値114.50を起点とした短期レジスタンスラインおよび直近安値107.31からの38.20%戻し110.05レベルを完全に突破した。次のターゲットは8月31日高値110.67。このレジスタンスポイントをも突破するならば、8月以降、相場を圧迫し続けている111.00トライは時間の問題となろう。111.00には厚いオファーが観測されており、且つ110.90には50.00%戻しが位置している(チャート①参照)。
調整相場が続く限り、円安優勢の展開も継続しよう。一方、米ドル相場には注意が必要だろう。昨日、米10年債利回りは2.18%まで反発する局面が見られた。しかし対円やブラジルレアルでの上昇幅と比較した場合、ユーロドルをはじめとした他のドルストレートでの米ドル買いは限定的となった(チャート②を参照)。むしろ、欧州通貨に対しては下落した。金利の急反発にもかかわらず米ドル高が抑制されている背景にあるのは、米金融政策の不透明感であろう。FEDによる今年3回の利上げは既に市場で織り込まれている。且つ2017年以降、鮮明となっているインフレ鈍化は2018年以降の利上げペースに対する不透明感を強め始めている。一方、米国外ではFEDに追随する動きが強まっており、金融引き締め期待をベースとした米ドル買いのアドバンテージは急速に後退しているのが実情だ。
米金融政策に市場の耳目がシフトする中、目先注目すべきは14日に発表される8月の米CPIとなろう。市場予想を下回るならば、米債券市場では将来の金融政策に対する不透明感が一層意識されよう。「CPI鈍化→インフレ鈍化懸念のさらなる高まり→米金利が再び低下」する展開となれば、外為市場では米ドル売り圧力が再度強まろう。ドル円は上述した重要レジスタンスポイント111.00レベルで上値がレジストされる展開が想定される。一方、ユーロドルは1.21のレジスタンスポイントを目指す可能性が高まろう。