Analyst's view
イエレンFRB議長は26日の講演で「物価の停滞は一時的」「緩やかすぎる政策調整に慎重になるべき」と発言。ダドリーNY連銀総裁に続き、米金融政策の方向性に大きな影響を与えるキーマン2人がそろってインフレ見通しに強気の姿勢を示し、且つ追加利上げにも積極姿勢を示したことで、昨日の米長期金利は反発。だが、上昇幅が限られた事実を鑑みるに、米債券市場はイエレンFRBが想定している程、インフレ見通しを楽観視しているわけではないことがうかがえる。債券市場におけるインフレ鈍化の懸念を払しょくするためには、やはり具体的な証拠、インフレ指標データの内容を確認することが条件となろう。この観点で考えるならば、29日のPCE指数は重要指標として注視したい。インフレ鈍化の懸念を払しょくする内容ならば、持続的な利上げ期待が意識されることで「米金利上昇→米ドル高」となろう。逆にインフレ鈍化のトレンド化がさらに進行していることが確認されるならば、逆の展開を想定したい。
ユーロドルは、米独利回り格差の動向に左右される状況となっている。前者の展開(=米金利上昇→米ドル高)となれば調整相場の継続、後者の展開(=米金利低下→米ドル安)ならば1.20台を再び目指す展開を想定したい。一方、ドル円は、株式動向次第で上値と下値のレベルが決定されよう。前者の展開ならば、直近高値112.71レベルを突破しよう。だが、米金融引き締め政策に対する警戒感が利益確定売り圧力を強める要因となれば、重要レジスタンスポイント114.50の突破は難しいだろう。一方、後者では、北東アジアの地政学リスクの動向次第で下値のレベルが決定されよう。現在の状況が続くならば、株高を背景とした円安圧力が米ドル安圧力を相殺することで110円台を維持する状況が想定される。だが、米朝間での軍事衝突のリスクがひとたび高まれば、一気に110円台を下方ブレイクし、108.00もしくは現時点での今年最安値107.31を目指す展開が想定される。チャート分析の詳細はテクニカルレポートにて。