Market Analysis
今週は、重要な政治/経済イベントは予定されていない。調整圧力が続く米ドル相場は各種指標データで上下に振れるだろうが、トレンド決定要因として注視すべきは新興国通貨の動向となろう。トルコ市場は今週より再開される。米国との対立が解消されない限り、トルコリラは調整の買戻しを挟みながら下落トレンドを形成することが想定される。米国との対立という観点で考えるならば、土地改革を巡りトランプ米政権と火種がくすぶり始めている南アランドの動向も要注意。ジンバブエでムガベ前政権が南アと同じ土地改革をした結果、国内経済が混乱し海外資本が同国から流出した経緯がある。同じく米国との政治対立が激化している中国人民元は、「1米ドル=7.0元」の攻防を注視する局面が続こう。一方、国内政局の不透明感という観点では、ブラジルレアルの動向を注視する必要があろう。10月に総選挙が実施されるが、元軍人で右派のボルソナーロ下院議員が世論調査で2位に浮上する一方(1位は服役中のルラ元大統領)、改革派として期待されているアルキミン氏(前サンパウロ州知事)の支持が低迷していることで市場は警戒感を抱いている。米ドル高を調整する局面でもブラジルレアルは一貫して下落基調を辿っており、ブラジル政局次第でさらに売り圧力が高まることが想定される。
今週のユーロドルは、新興国通貨売りによる米ドル高調整圧力の後退となれば、短期レジスタンスライン手前で上値が抑制される展開を想定したい。逆に、トランプリスク(ロシアゲート、突発的な米ドル高けん制発言等のリスク)が意識されることで米ドル高の調整地合いが続けば短期レジスタンスラインを突破し、7月のレジスタンスポイント1.1750をトライを意識したい。下値の攻防分岐は21日MAとなろう。今日現在、このMAは1.1535レベルで推移中。21日MAの下方ブレイクは1.1500トライのシグナルとして警戒したい。
ドル円は引き続き株式、特に米株にらみの展開となろう。米株高トレンドは継続しているため反落しても110円台の維持を想定したい。一方、上値は111.50が目先の攻防分岐となろう。「新興国通貨売り→米ドル買い」の局面で米株が高値更新となる場合、112.00(8月1日高値112.14)を視野に上昇幅の拡大を想定したい。
【チャート①:8月米ドル相場騰落率(対新興国通貨)】