【チャート①:米長期金利と金融&ハイテクセクター】
Market Analysis
21日に公表されたFOMC議事録(1月30日-31日開催分)では、賃金の持続的な上昇についての懸念が根強いことが判明した一方、経済成長の加速とインフレの上昇については自信を示してきた。議事録公表後に米長期金利が2.9%台の水準へしっかり乗せてきているが、問題はこの上昇スピードを受けた米株とユーロドルの反応である。昨日の米株は終盤に失速。本来であれば金利の上昇がポジティブ要因として意識されるはずの金融セクター、そして米株高のけん引役であるハイテクセクターがそろって下落した事実は、現在の金利上昇のスピードが米株にとってリスク要因であることを示唆している(チャート①)。一方、ユーロドルは短期サポートラインを視野に下落トレンドを形成中(チャート②)。米長期金利の上昇スピードが加速し米独利回り格差がさらに拡大すれば、このラインを一気に下方ブレイクし、アセンディング・トライアングルのパターン形成に失敗しよう。それはさらなる「ユーロ売り/ 米ドル買い」シグナルと市場で捉えられ、リトレースメント50.00%を視野に下落幅が拡大する可能性が高まろう。ユーロドルの急速な下落(=調整)で注視すべきは、国際商品市況への影響である。米ドル高継続を背景に国際商品市況全体が下落トレンドへ転じれば、資源セクターの売り圧力を強めよう。金融、ハイテクそして資源の各セクターで売り圧力が強まる展開となれば、米株が再び不安定化しよう。米株の不安定化は世界株式の不安定化要因となり、外為市場では円高圧力を強める要因となろう。リスクリバーサル(1M)ではドル円の反発基調維持の可能性を示唆している。だが、米長期金利の上昇スピードが再びリスク回避圧力を強める場合、目先の上値攻防分岐である108.00突破に四苦八苦しよう。突破に成功してもテクニカル面で重要な短期レジスタンスラインで反落する可能性を意識したい(チャート③)。