【チャート①:米10年債利回り】
Analyst's view
21日の米長期金利は2.50%手前で抑制された(チャート①参照)。税制改革法案の年内成立はすでに市場で織り込まれており、今後は低インフレ懸念とのせめぎ合いとなるだろう。米インフレデータが引き続き低迷するならば、米国債券市場では、税制改革が及ぼす効果の期待と低インフレ懸念の板挟み状態が続く可能性が高い。だが、世界的な株高トレンドを崩すリスク要因は見当たらず、且つ原油先物相場は供給過剰懸念の後退によって60ドル台を視野に堅調地合いを維持している。低インフレ懸念が意識されても、他市場におけるリスク選好相場が崩れない限り、年内の米長期金利は2.3%台を維持する公算が大きい。
金利動向で他に注目すべきは、独長期金利の動向だろう。市場の関心が再び堅調なファンダメンタルズに回帰していることに加え、独超長期債の発行額が増加する見通しとなったことも重なり0.41%台まで急反発している。ドラギECBが緩和の出口に向かっている状況も考えるならば、今度も独長期金利は緩やかな上昇基調を描く可能性があろう。金利低下要因として注視すべきはドイツの政治リスクだが、このリスクはドイツに限らず常に一過性のイベントリスクとして作用するにとどまっている。よって、最終的に現在の良好な域内の指標データの方が市場で意識されることで、年内のユーロ相場は下落してもすぐに押し目買いが入る展開を想定している。
本日のドル円は、11月の戻り高値114.73を起点とした短期レジスタンスラインが上値の攻防分岐となろう。このラインをローソク足の実体ベースで突破する場合、来週以降、114円を目指す展開を想定したい。逆にこのラインで上値がレジストされるならば、10日MAもしくは日足転換線までの調整を想定したい(チャート②参照)。一方、ユーロドルの上値攻防分岐は直近安値1.1716からの76.40%戻しとなろう。下値のそれは21日MAとなろう(チャート③参照)。