10日の海外外為市場は円高の展開となった。この日、主要な海外株価指数は軒並み下落。株安は米長期金利の低下圧力を高めた。典型的なリスク回避相場に直面したドル円は、安値112.23まで下落する局面が見られた。一方、クロス円では南アフリカランド、ブラジルレアルといった新興国通貨に対して円の上昇幅が拡大した他、原油価格の下落も重なりカナダドルでの上昇も目立った。
米株は主要3指数が3～4％急落する展開となった。ダウ平均は前日比で831.83ポイント（3.15％）の急落。2月8日以来の下げ幅となった。S&P500指数は同比94.66ポイント（3.29％）安の2,785.68と、7月上旬以来の水準まで急落した。国際商品市況ではリスク回避相場が意識され、NY原油先物11月限が前日比1.79ドル安の1バレル＝73.17と反落。11日発表の米石油在庫統計を前にしたポジション調整も相場の重石となった。一方、NY金先物12 月限は対ユーロでの米ドル売りと株安が相場のサポート要因となり、前日比1.9ドル高の1トロイオンス＝1193.4と続伸して終了した。
米株は今年2月上旬以来となる大幅下落となった。これまで低水準での推移を維持してきたボラティリティ指数は警戒水準の20.00ポイントを突破。25ポイントの水準をも突破する状況となれば、本格的なリスク回避相場へシフトする展開を警戒したい。リスク回避局面で最も買われ易い通貨は日本円だろう。事実、10日の海外時間では対先進国通貨および新興国通貨で円は全面高となった。株安は米長期金利の低下圧力を高める要因ともなる。米国市場が金利の適正水準を見極める状況にある限り、ドル円は上値の重い展開が続こう。
そのドル円だが、直近は5日連続で陰線が示現中。21日MA（112.92）を一気に下方ブレイクしたことで、次のターゲットは、現時点での今年最安値104.55を起点としたサポートラインとなろう。今日現在このラインは111円ミドルで推移している。112.00前後にはビッドが観測されている。また、フィボナッチリトレースメント61.80％とプロジェクション76.40％が111.95前後に位置している。オーダー状況とテクニカルの観点で重要な112.00－111.95ゾーンの下方ブレイクは、上記サポートラインをトライするシグナルとして警戒したい。一方、5日続落中ということもあり、112.00前後での反発局面も意識したい。そのきっかけとなり得るのが、急落後の米株反発である。このケースでのドル円の上値焦点は、21日MAの攻防となろう。一方、ユーロドルも米株の動向がトレンドを左右しよう。「株安→米金利低下→米独利回り格差の縮小」の展開では、ユーロのショートカバー継続を想定したい。このケースでは10日MA（1.1527前後）を完全に上方ブレイクし、1.16台を目指す展開を想定したい。一方、急落後の米株に買戻しが入る場合、米長期金利の低下圧力も後退しよう。このケースでは1.14台への反落を想定したい。1.1560から1.1600にかけては断続的にオファーが観測されている。一方、1.1450から1.1400にかけてはビッドが並んでいる。
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