Market Analysis
14日の新興国通貨は対ドルで堅調に推移した。一方、株式市場は東南アジアの各株価指数の下落が目立ったが、主要な新興国の株式市場は総じて上昇した。CBOEのEMERGING MARKETS ETFボラティリティも18.34ポイントまで低下している状況を考えるならば、トルコリスクが新興国市場へ伝染するコンテイジョンリスクはひとまず後退している。しかし、トルコに対するエクスポージャーが高い南欧金融機関の株価が下落基調にある点を考えるならば、このリスクが完全に後退したわけではない。「トルコリスク→欧州金融機関リスク→ユーロ売り→さらなる米ドル高」となれば、トランプ陣営による突発的な米ドル高けん制発言を警戒すべきであるし、また欧州金融機関のリスクが欧州株式全体の重石となり、その影響が米株に波及するシナリオも警戒しておくべきだろう。
本日のユーロドルは下値トライを想定したい。上述した通り、欧州金融機関のリスクが完全に払しょくされない限り、欧州株式の上値は抑制されよう。また、独連邦債への需要が増すことで米独利回り格差も拡大傾向を辿るだろう。これら市場の動きがユーロ売り要因となることで、次のサポートポイント1.1300を視野に下落幅の拡大を意識したい。このレベルにはビッドが観測されている他、すぐ下の水準1.1290にはプロジェクション61.80%が位置している。一方、短期的な調整(=ユーロの買戻し)が入る場合は、10日MA(1.1494前後)の突破が焦点となろう。
本日のドル円は反発基調の維持を予想する。50日MAおよびレジスタンスポイント111.20の突破に成功したことで、次のターゲットは21日MA(111.37前後)となろう。このMAの突破にも成功する場合は、8月3日高値111.81および同月1日高値112.14を上値ターゲットと想定したい。これら3つのターゲット前後にはオファーが観測されている。一方、目先の下値ターゲットは、昨日安値110.58となろう。110円ミドル割れの要因として警戒すべきは、トランプ陣営によるトルコへの追加制裁や突発的な米ドル高けん制発言となろう。
【チャート①:南欧銀行株(8月以降)】