Market Analysis
本日早朝に「米当局が2000億ドル相当の対中関税リストを公表予定」との報が流れると、ドル円は111円割れの展開となった。しかし下落幅が限定的である点を鑑みるに、現在はこの問題がドル円のトレンド決定要因として材料視されていないことがうかがえる。
目先のドル円が株式動向に左右される可能性が高いことは、10日のレポート「底堅いドル円と調整を警戒したいユーロドル」で指摘済み。最も注視すべきは米株の動向だが、ダウ平均は4日続伸しS&P500は2月1日以来となる高値水準で引ける等、反発基調が鮮明となっている。このトレンドが続くかどうかは、これから本格化する四半期決算次第となろう。堅調な世界経済の動向および1-3月期に低迷していた米国の個人消費が持ち直している状況も考えるならば、今期の決算も総じて良好な内容となる可能性がある。国際貿易摩擦は引き続き懸念材料だが、決算シーズンではそのネガティブインパクトを良好な決算内容が相殺することで、米株は高値圏での攻防が続くと想定している。よって、ドル円も調整の下落は散見されるだろうが、109円台でサポートされる可能性が現時点では高い。
本日のドル円は、貿易摩擦懸念が相場を圧迫する可能性がある。だが、調整の反落程度ならば110円台の維持を想定している。110.50から110.20にかけては断続的にビッドが並んでいる。また、このエリアには21日MA(110.40レベル)が推移している。110.50割れでは押し目買いが入る可能性があろう。上値の焦点は、5月21日高値111.39の突破で変わらず。111.40から111.80にかけては断続的にオファーが並んでいる。
一方、ユーロドルは1.17前後で底堅い展開を想定したい。米国市場がリスク選好(=株高 / 金利上昇)となっても下落幅が限定的である点を考えるならば、押し目買いの意欲が高まっている。21日MA(1.1660)までの反落の可能性はあるが、常に意識すべきは1.18トライの方だろう。1.1650、1.1630および1.1600にはビッドが観測されている。一方、1.1800および1.1850にはオファーの観測あり。
【チャート①:ドル円】