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トランプ減税 米下院通過も先行き不透明感は払しょくされず

Overview

16日の海外外為市場は米ドルの売り買いが交錯した。この日の米国市場は株式と金利が反発するリスク選好の展開に。これらの動向を受けドル円は112.74から113円台へ回復する局面が見られた。ユーロドルは、NYタイム以降米ドル買い優勢の展開となり、1.1760レベルを割り込む局面が見られた。だが、トランプ政権が推し進める税制改革の不透明感を背景に米ドル買いは限定的だった。

米国株式は好決算をきっかけに押し目買い優勢の展開となり、主要3市場がそろって上昇した。好決算を発表したウォルマート・ストアーズがダウ平均上昇のけん引役となった。NY原油先物12月限は、前日比0.19ドル安の1バレル=55.14と3日続落する展開に。米原油生産量の増加が供給過剰懸念を市場に意識させた。一方、NY金先物12 月限は米ドル買いが限定的だったことが好感され、前日比0.5ドル高の1トロイオンス=1278.2と小反発して終了した。

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Analyst's view

米議会下院は16日、税制改革法案(トランプ減税法案)を賛成227票 / 反対205票で可決した。ライアン下院議長が示唆していた今月23日までの可決にこぎつけることが出来たが、米ドル相場の反応は限定的。10月米CPIコア(前年同月比)が市場予想を上回っても米ドル相場の反応が同じく限定的だった点を考えるならば、年内のトランプ減税成立と低インフレからの早期脱却に対する市場の懸念は根強いと言えよう。
前者の今後の焦点は、上院の動向となろう。注視すべきは、減税による財政赤字の拡大を抑制する対策の導入にある。しかし、この問題の有効な対策として提示されていた国境(調整)税は今夏以降、米政府と議会共和党執行部が棚上げ状態にしている。だからこそ、上院の修正案は減税開始時期を2019年に先延ばししたのだろう。上院可決は12月中と言われているが、抑制対策の議論無しに審議が順調に進行するかどうかは不透明な状況にある。国境(調整)税の議論が復活するか代替案が示されるかどうか、この点が未だはっきりしない以上、トランプ減税の年内成立には未だ不透明感が漂う。よって、米金利が持続的な上昇基調へ転じる可能性は現時点で低い。一方、後者の問題も持続的なインフレ指標の上昇が確認出来ない限り、米金利の上昇圧力を抑制しよう。米金利の持続的な上昇無しに、米ドル高トレンドが形成される可能性も低いだろう。
本日のドル円は引き続き113.00を挟んだレンジ相場を想定したい。日米株式が再び反発基調へ転じている点を考えるならば、米金利は小幅に上昇する可能性がある。この場合、ドル円は10日MAのトライが焦点となろう。一方、下値の焦点は50日MAで変わらず(チャート①)。一方、ユーロドルは1.17台を中心としたレンジ相場を想定したい。75日MAの突破は、1.1860レベル再トライのシグナルと想定したい(チャート②)。詳細はテクニカルレポートにて。


【チャート①:ドル円】

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【チャート②:ユーロドル】

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