Market Analysis
NY原油先物が70ドル台を維持し米株に底打ち感が高まっても、3日以降、米長期金利は低下基調にある。株高にも追随できない現状を考えるならば、今週の米ドル相場は軟調地合いを想定したい。米長期金利の低下がFOMC以降から続いている状況を考えるならば、年内あと2回の利上げについてはすでに織り込んでいる可能性が高い。この点は金融政策に敏感な2年債利回りが2.5%台で抑制されていることでもうかがえる。そして、これら利回りスプレッドがフラット化している状況も考えるならば、米債市場では米株以上にファンダメンタルズの先行き不透明感が意識されている可能性を示唆している。この見立てが正しいならば、目下のところ先行き不透明感の要因は米国を震源とする国際貿易摩擦の激化にあろう。今週は13日に6月中国貿易収支が発表される。対米黒字の拡大(=対中赤字の拡大)が確認される場合、米中貿易摩擦懸念を背景に米ドル安圧力が高まる可能性がある。
米ドル安が続く場合、その受け皿となるのがユーロとなろう。ユーロクロスの動向を確認すると総じてユーロ高圧力が高まっているわけではない。だが、ユーロドルはレジスタンスポイント1.1720を完全に突破し、且つ日足一目遅行線がローソク足を上放れしている。テクニカルの面ではユーロドルは上値トライのムードが高まっていると言えるだろう。また、通貨オプション市場ではユーロプットの需要が後退し、リスクリバーサルも上方傾向にある。反発基調が継続する場合、次のターゲットは1.1850となろう。このレベルにはリトレースメント38.20%が推移している。一方、下値の焦点は、基準線がレジスタンスからサポートへ転換するかどうか、この点に注目したい。このラインを下方ブレイクしても米長期金利に上昇圧力が高まらない限り、1.16台は維持する可能性が高い。1.1800にはオファー、1.1620および1.1600にはビッドの観測あり。
一方、ドル円は109.00-111.50レンジの攻防を想定している。トレンドは株式市場に左右されよう。特に注視すべきは米株の動向だが、底打ち感が高まっている状況を考えるならば、米長期金利の低下により反落しても109円台で反発する展開を想定したい。テクニカル面での焦点は、5月安値108.10を起点とした短期サポートライン(109.88→110.12)の維持となろう。110.00および109.80にはビッド、111.00から111.50にかけては断続的にオファーが観測されている。詳細なチャート分析は、別途テクニカルレポートを参照されたし。
【チャート①:米金利の動向】