Market Analysis
トランプ米大統領は先週、FEDの利上げスタンスについて否定的な見解を示した他、米ドル高をけん制すると同時に中国とEUの通貨操作についても批判した。これら発言後の通貨オプション市場の動向を確認すると、ドル円ではドルプットの価格が上昇し、リスクリバーサルは拡大傾向にある。一方、ユーロドルではユーロのコール / プットともに大きな変動は見られないが、リスクリバーサルはにわかに上方へ拡大中。24日に第2回対中追加関税(対中追加関税第2弾)の公聴会、そして25日にトランプ氏と欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長との会談が予定されているタイミングでの為替相場に対する批判と通貨オプション市場の動向を考えるならば、今週のドル円は113.00を上限に上値の重い展開を想定したい。だが株式市場、特に米株が大きく崩れない限りドル円が110円を割り込む可能性は低い。その米株だが、ボラティリティを確認すると引き続き低水準での推移が続いている。この状況は、ここまで良好な内容が続いている四半期決算が現在の米株のメインテーマであることを示唆している。よって、今週の決算(アルファベット、フェイスブック、GM、ボーイング、アマゾン、インテル、ツイッター等の決算)が総じて市場予想を上回るならば、米株は引き続き底堅い展開が想定される。米ドル相場の調整と米株高がぶつかり合う場合、5月安値108.10を起点とした短期サポートラインの維持が焦点となろう。このラインは今週110.55-110.80で推移する。米ドル相場と米株がともに堅調地合いを維持する場合は、上記の113.00突破が焦点として浮上しよう。
一方、ユーロドルは1.1650-1.1850レンジでの攻防を想定したい。リスクリバーサルはユーロドルの堅調地合いを示唆している。だが、米欧貿易摩擦の問題が意識されやすいタイミングを考えるならば、積極的にユーロ買いを仕掛けるタイミングにはない。短期レジスタンスラインおよび7月9日高値1.1790ブレイクの可能性はある。だが、最も重要なレジスタンスポイントであるリトレースメント38.20%の水準1.1850レベルの上方ブレイクに成功しない限り1.15台への反落リスクを常に意識したい。一方、下値の焦点はビッドが観測され始めている1.1650の維持となろう。このポイントを下方ブレイクする場合は、同じくビッドが観測されている1.1600、および短期サポートラインを次の下値ターゲットとして想定したい。
【チャート①:ドル円】