Market Analysis
ドル円は重要な分岐点の突破に成功した。その分岐点とは、トランプラリー時の高値118.60レベルを起点とした中期レジスタンスラインである(チャート①参照)。今回の突破をテクニカルの視点で考えると、トランプラリーの終焉後に発生した緩やかな米ドル安 / 円高トレンドが終焉したシグナルのひとつと考えることができる。今回の突破で注目すべきは、国際貿易摩擦を背景に米国市場がリスク回避相場となる中、米ドル高圧力のみが高まったという事実である。米国を震源とする貿易摩擦の激化はこれまで米ドル安要因として外為市場で意識されてきた。しかし、昨日の動向は「貿易摩擦=米ドル安」が今後真逆の要因、つまり「貿易摩擦=米ドル買い」として外為市場で意識される可能性を示唆している。それがトレンド化するかどうかは、今後も予想される米中の報復合戦とそれに対する米ドルの反応を見極める必要がある。だが、現在の米国経済が他国のそれと比較し良好な状況にある点を考えるならば、貿易摩擦のネガティブインパクトは米国以上に他国(特に新興国)にとって大きいという後付けの理由で、米ドル高圧力が再び高まる可能性があることを昨日の動向は示唆している。
本日のドル円は調整売りが散見されよう。だが、米国市場がリスク回避相場となっても米ドル高圧力が高まった事実を重要視するならば、トレンドは上値トライにある。上値の焦点は、昨日見事に相場をレジストしたフィボナッチ・プロジェクション100%の水準(昨日高値112.17)となろう。このテクニカルの突破に成功する場合は、113円台へ向け上昇幅の拡大を想定したい。下値の焦点は111円台の維持となろう。一方、日足基準線を下方ブレイクし且つ遅行線もローソク足を下離れしたユーロドルは、下値トライを警戒したい。1.16割れとなれば6月下旬から続いた反発基調が終焉したと判断したい。21日MAの下方ブレイクは1.16トライのシグナルとして警戒したい。一方、上値の焦点は1.1760レベルの突破となろう。
【チャート①:ドル円】