ギリアド・サイエンシズ（GILD）、レムデジビルは新型コロナウイルス治療の世界規模での治験に着手へ、早期承認が待たれる
ナスダック | バイオテクノロジー| 業績フォロー
BLOOMBERG GILD:US | REUTERS GILD.O
- 2019/12期4Q（10-12月）は売上高が前年同期比1.5％増、純利益が同899倍、Non-GAAPの調整後純利益は同11.7％減。
- HIV感染治療薬およびYescartaが増収に寄与したが、棚卸評価損や研究開発費、販管費の増加により調整後純利益は減益だった。
- 同社が開発したレムデジビルは新型コロナウイルス治療の世界規模の治験に着手予定。世界最初の治療薬として早期承認が待たれる。
What is the news?
2/4発表の2019/12期4Q（10-12月）は、売上高が前年同期比1.5％増の58.79億USD、純利益が同899倍の26.96億USD。ただし、Non-GAAPの調整後純利益は同11.7％減の16.53億USDだった。ヒト免疫不全ウイルス（HIV）感染治療薬の販売増、および再発性・難治性ラージB細胞リンパ腫に対するキメラ抗原受容体T細胞療法のYescartaが増収に寄与した。その一方、在庫に係る棚卸評価損が同22.0％増の5.00億USDだったこと、細胞治療に係る人件費増、研究開発プロジェクトへの投資強化、米国での販売促進費用増、および日本での事業拡張に伴う費用増が響き調整後純利益は減益となった。
製品セグメント別の売上高は以下の通り。HIV感染治療薬は前年同期比12.2％増の46億USD。2018年発売のビクタルビが同2.7倍の15.70億USDとなったことが増収に寄与した。慢性のC型肝炎ウイルス（HCV）治療薬は同14.6％減の6.30億USD。平均販売価格の低下が響いた。Yescartaは同50.6％増の1.22億USD。治療を受ける患者の増加および欧州で当局から承認される地域の拡大が貢献した。慢性のB型肝炎ウイルス（HBV）治療薬、心臓血管、がん・腫瘍などのカテゴリーを含むその他製品は同41.4％減の4.67億USD。2019年に予想通りにRanexaやLetairisのジェネリック医薬品が販売開始されたことが減収の要因となった。
How do we view this?
2020/12通期の会社計画は、ロイヤリティなどのその他収入を除く製品売上高が218-222億USD（前期実績：221.19億USD）、調整後の製品売上総利益率が86-87％（同：84.0％）、調整後営業利益が101-108億USD（同：42.87億USD）、調整後EPSが6.05-6.45USD（同：6.63USD）。イエスカルタの欧州における当局からの承認が拡がれば製品売上高の上振れが期待されよう。同社がエボラ出血熱の治療薬として開発した「レムデジビル」は、新型コロナウイルス治療の有望薬として中国などで試験的に投与され、世界保健機関（WHO）のテドロス代表からも2/24に「現時点で本当に治療効果があると見られる唯一の薬」と発言された。更に、米国立衛生研究所（NIH）が世界規模での治験に着手すると伝えられた。治験の結果次第では新型コロナウイルス治療薬の世界第1弾として早期承認が期待されよう。2020/12通期の市場予想は、売上高が前期比0.4％減の223.56億USD、純利益が同23.4％増の66.46億USD。
配当予想(USD) 2.75 （予想はBloomberg）
終値(USD) 75.40 2020/3/2
会社概要
1987年に創立。遺伝子組み換えなどの技術を使い、生命に危険 を及ぼす難病に対する治療法の研究、発見、開発、商品化を展開するバイオ製薬大手である。主にHIV（ヒト免疫不全ウイルス）によるAIDSや肝臓疾患、赤血球・白血球の検査に係るがんや腫瘍、炎症による呼吸器系疾患の治療薬に注力している。同社は製品をサードパーティを通じて販売しており、ブリストル・マイヤーズスクイブ（BMY）、ファイザー（PFE）、日本たばこ産業（2914）をはじめとする有力企業と提携している。
同社の製品別セグメントは、①Biktarvy、Genvoya、Truvada、Odefsey、Descovyを含む「HIV感染治療薬」、②Epculsa、Harvoni、およびVoseviを含む「C型肝炎ウイルス（HCV）感染治療薬」、③大型B細胞リンパ腫に関し、キメラ抗原受容体T細胞療法の治療薬「Yescarta」、④B 型肝炎ウイルス（HBV）感染に対するVemlidyとViread、肺動脈高血圧症の経口治療薬であるLetairis、慢性狭心症の錠剤治療薬であるRanexaなどから成る「その他製品」の4セグメントに分かれている。
企業データ（2020/3/3)
ベータ値 0.89 時価総額(百万USD) 95,278 企業価値=EV(百万USD) 94,881 3ヵ月平均売買代金(百万USD) 902.8
主要株主（2020/3） （％）
1.CAPITAL GROUP COMPANIES INC 9.41
2.ブラックロック8.43
3.VANGUARD GROUP 8.21
（出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成）
本レポートの発行元：フィリップ証券株式会社 〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町4番2号
TEL:03-3666-2101 URL： http://www.phillip.co.jp/
本レポートの作成者：公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト 笹木和弘
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提 供している証券会社との契約に基づき対価を得ております。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の 見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身 の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害につ いても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じま す。
＜日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則 平14.1.25」に基づく告知事項＞ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。
