グローバル経済の機能不全とクラウド経済
米国ウィークリー 2020年3月31日号
- 3/27の金融市場は、米国株市場だけを見ればダウ工業株30種平均(NYダウ)が前日比915ドル安(4.1%安)となり、新型コロナウイルス感染拡大を懸念した株価変動率の高い展開が継続しているように見える。3/27終値のVIX指数は前日終値比4.54ポイント上昇の65.54ポイントとなり、高値圏で推移している。投資家が株価の先行きに不安を感じている状況が続いていると言えよう。
- その一方、主要通貨に対する米ドルの強さを示すドルインデックス指数の終値は、2020/3に入り株式や債券が急落するなか、世界の基軸通貨である米ドルへの需要の急激な高まりを受けて3/9の94.895から3/20の102.817ポイントまで8.3%上昇後、3/27の98.365まで4.3%低下した。ドル円相場も3/24の高値111円71銭から3/27の安値107円76銭まで3.5%下落した。3/27にはFRBの5,000億ドルのターム物レポオペに入札が無かったこともあり、大規模な財政政策や主要中央銀行による米ドル供給拡充などを受け、金融市場が米ドル不足のパニック的な状況から経済・景気の先行きを予想した通常取引の状況へと移行しつつあると言えるだろう。NYダウにおける3/23の安値18,213ドルは、パニック状態における極限値として当面の底値となりやすい面もあろう。
- 3/27は株式相場が下落する一方、米国債市場は買われ10年債利回りが0.12%ポイント以上低下した。また、NYMEXのWTI原油先物価格は1/8の高値1バレル65.65ドルから3/20の安値1バレル19.46ドルまで約70%下落した。米国株式市場は、FRBの量的金融緩和の拡充、および2兆ドルの経済対策を好感した自律反発の局面を経て、今後は景気や企業業績の先行きといったファンダメンタルズの見通しの変化を折り込んでいく可能性が高いと言えよう。
- 新型コロナウイルスの感染拡大によりヒトやモノの移動が止まり、グローバル経済が機能不全に陥る状況が続くなか、経済において消費を中心とした内需の重要性が高まることが考えられる。内需押し上げの観点では、原油安のほうが輸入コストの低下が購買力を高めることを通じて経済にプラスの面をもたらすことが期待される。原油安は景気見通しの悪化を示すものと捉えられがちだが、今後は消費関連株を下支えするプラス面も見直されるのではないだろうか。
- また、Social Distancing が求められるなか、多くの人々が一堂に会することやFace-to-Faceの繋がりが難しくなり、コミュニケーションや商取引がクラウドサービスを中心としたクラウド経済にシフトする比重が今後も高まると見込まれよう。
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(3/27現在)
■主な企業決算の予定
●3月31日(火): コナグラ・ブランズ、マコーミック
●4月1日(水): PVH、ラム・ウェストン・ホールディングス
●4月2日(木): ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、カーマックス
●4月3日(金): コンステレーション・ブランズ
■主要イベントの予定
●4月1日(水)
・米ISM製造業景況指数 (3月)、ADP雇用統計 (3月)、自動車販売 (3月)、建設支出(2月)
●4月2日(木)
・米新規失業保険申請件数 (3月28日)、貿易収支 (2月)、製造業受注(2月)
●4月3日(金)
・米雇用統計 (3月)、ISM非製造業総合景況 指数 (3月)
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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