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クレディ・スイス救済で合意 SVB危機で12%安の米金融株の反応は?

UBSがクレディ・スイス救済合併に合意した。世界の主要中銀は金融システム不安の封じ込めに懸命で、20日の株式市場の反応が焦点となる。

出所:ブルームバーグ

バンク(SVB)の経営破綻問題で始まった、米欧の金融システムをめぐる緊張感が高まっている。信用不安にさらされていたスイス金融大手のクレディ・スイス・グループは19日に同国のUBSグループとの合併で合意したと発表。交渉はスイス政府などが主導しており、世界の主要中央銀行も問題の沈静化に懸命だ。ただし不安拡大の震源地となった米国の金融株はSVB問題の表面化から17日までの7営業日で12%下落しており、不安が容易に払しょくされるかは不透明。今後も当局による金融システム安定化に向けた取り組みと金融政策の行方が市場を揺るがすことになる。

UBSがクレディ・スイスの救済に合意

クレディ・スイスは19日、合併についてUBSと合意したと発表。UBSも同日、クレディ・スイスの買収を計画していると発表した。クレディ・スイスの株主が新たにUBS株を受け取る。クレディ・スイス株とUBS株の交換比率は22.48対1で、UBSがクレディ・スイスの全株式を30億スイスフラン(約4260億円)で買収する形だ。交渉はスイス政府とスイス国立銀行が両者に依頼して進められた。今回の合併は株主の同意なしで実施できるとし、可能であれば年末までに実現するとしている。

スイス国立銀行は合併合意発表にあわせて、両者が1000億スイスフランの流動性支援枠を利用することができると発表した。また、イエレン米財務長官と米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は19日、合併を歓迎するとの声明を発表。「米国の銀行システムの資本状況と流動性は強固であり、米国の金融システムは強靭だ」と強調した。さらにカナダ銀行、イングランド銀行、日本銀行、欧州中央銀行(ECB)、FRB、スイス国立銀行は協調行動をとって米ドルの流動性供給を拡充すると同時発表した。

金融システム不安の封じ込めに懸命

世界の主要中央銀行がクレディ・スイス問題への対応に懸命なのは、これまでの取り組みにもかかわらず、金融システム不安がおさまり切らなかったためだ。米株式市場ではS&P500種株価指数の金融セクター指数が17日、前日終値比3.3%下落した。この日は米大手銀行団によるファースト・リパブリック銀行への救済策が公表されたが、投資家心理は安定しなかった。

金融セクター指数の下落が加速したのは、SVBが保有資産売却に際して18億ドルの損失が出たと発表した翌日の9日から。17日までの7営業日での、S&P500金融セクター指数の下落率は11.5%に達した。この指数との連動を目指す上場投資信託(EFT)も同様の値動きだ。またこの7営業日でS&P500種株価指数自体も1.8%値下がりした。スイスフランの対円相場もクレディ・スイスが内部統制に関する重大な弱点があることを14日に公表してから約3%下落した。

FOMCでのメッセージが相場を左右

今後の焦点となるのはクレディ・スイス救済に対するマーケットの反応と、FRBの金融政策の行方だ。米国の金融株はパウエル氏の議会証言が利上げペースの加速を示唆していると受け止められた7日にも大幅に下落していた。FRBの利上げが金融機関が保有する債券の価値を下落させ、金融機関の財務状況を悪化させるとのシナリオが想起されたためだ。

FRBは21、22日に連邦公開市場委員会(FOMC)を控えており、どのようなメッセージを打ち出すかで市場が大きく動く可能性がある。CMEグループのフェドウォッチによると、投資家が想定する利上げ幅が0.25%になる確率は日本時間の20日8時前の時点で74%。利上げ見送りの確率も26%あると見積もられている。


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