IBM、世界の主要クラウドと顧客企業のプライベートクラウドを連携させる「ハイブリッド・クラウド」戦略が動き出す
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- 2019/12期4Q(10-12月)は売上高が前年同期比0.1%増、純利益が同88.1%増、Non-GAAPの調整後EPSが同3.3%減だった。
- 買収したRed Hatを含むCloud & Cognitive Software事業の売上高が同8.7%増。Red Hatは買収の影響を除いた調整後売上高が同23.5%増。
- 世界の主要クラウドと顧客企業のプライベートクラウドを連携させる世界最大の「ハイブリッド・クラウド」提供者となり、同社の豊富なソフトウェア群の普及を図る戦略の成果が期待されよう。
What is the news?
1/21発表の2019/12期4Q(10-12月)は、売上高が前年同期比0.1%増の217.77億USD、純利益が同88.1%増の36.70億USD。純利益増益は前年同期の税制改正に伴う引当金計上の反動増による。税制改正のほか買収や退職給付会計などに係る調整額の影響を除いたNon-GAAPの調整後EPSは同3.3%減の4.71USD。「Watson」のAIやクラウドサービスを手掛け、2019/7に買収を完了したRed Hatを含むCloud & Cognitive Software事業が増収に寄与した。また、Global Technology Services事業、Systems事業、およびGloban Financing事業の粗利率改善により全体の粗利率が同0.9%ポイント上昇の47.3%となり、Red Hat買収後に負債が101億USD減少(内、4Qに34億USD減少)するなど財務状況の改善に貢献した。
セグメント別の売上高は、Cloud & Cognitive Software事業が同8.7%増の72.38億USD、Global Business Services事業が同0.6%減の42.43億USD、Global Technology Services事業が同4.8%減の69.49億USD、Systems事業が同16.1%増の30.42億USD、Global Financing事業が同25.1%減の3.01億USD。特にCloud & Cognitive Software事業に含まれるRed Hatは、買収の影響を除くベースの調整後売上高が同23.5%増の10.66億USDと堅調に推移した。
How do we view this?
2020/12通期の会社計画は、EPSが前期比横ばいの10.57USD以上、Non-GAAPの調整後EPSが同4.2%増の13.35USD。Linuxなどのオープンソースで世界をリードするRed Hatの買収後、自社のCloudにとどまらず、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud、およびAlibabaなどの世界の主要クラウドと顧客企業のプライベートクラウドを連携させて互換性を持つ世界最大の「ハイブリッド・クラウド」提供者になる戦略が具体的に動き出した。4Qが5四半期ぶりに増収となるなど成果が出始めていると見ることができよう。同社の豊富な業務用ソフトウェア群のアプリケーションを多様なクラウド上で実行することができれば業績の拡大に繋がるものと期待される。2020/12通期の市場予想は、売上高が前期比2.8%増の793.13億USD、当期利益が同11.9%増の105.57億USDである。
終値(USD) 139.17 2020/1/21
会社概要
1911年設立。コンピューター・ソリューションに係る統合テクノロジー企業として世界各地で事業を展開している。「Cloud & Cognitive Software」、「Global Business Services」、「Global Tschnology Services」、「Systems」、および「Global Financing」を主な事業セグメントとする。
①Cloud & Cognitive Software事業は、人工知能である「Watson」のブランド名で、分析およびデータ管理プラットフォーム、クラウドデータサービスなどの企業向け人工知能プラットフォームのソフトウェア・ポートフォリオを提供するほか、銀行、航空会社、小売業界などのトランザクション処理ソフトウェアも手掛ける。②Global Business Services事業は、ビジネスコンサルティングのほか、財務・購買・人材開発など業界ごとのBPOサービスを提供する。③Global Technology Services事業は、企業向けITインフラ環境に係るサービスのほか、ソフトウェア・ソリューションを手掛ける。④Systems事業は、企業・クラウドサービスプロバイダー・科学研究組織向けサーバーなどを提供する。⑤Global Financing事業は、金融機関、航空会社、メーカーおよび小売企業向けに多様な金融サービスを手掛ける。
企業データ(2020/1/22)
ベータ値 1.02
時価総額(百万USD) 123,254
企業価値=EV(百万USD) 182,688
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 466.2
1.VANGUARD GROUP 8.15
2.ブラックロック 6.91
3.ステート・ストリート 6.08
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 国際公認投資アナリスト 笹木和弘
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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