AT&T(T)、FCFの増加により、有利子負債削減にとどまらず株主還元策および配当利回りの価値向上へ
ニューヨーク | 通信事業者| 業績フォロー
BLOOMBERG T:US | REUTERS T.N
- 2019/12期2Q（4-6月）は、タイムワーナー買収の寄与により売上高が前年同期比15.3％増、EBITDAが同13.7％増。その一方、純利益が同27.7％減、調整後EPSが同2.2％減にとどまった。
- 部門別EBITDAは、通信が同2.3％増、ワーナーメディアが同5.4％増、ラテンアメリカが同57.4％減、Xandrが同1.5％増だった。
- 2019/12通期会社計画のFCFは280億USD。FCFが計画に沿って増加すれば有利子負債削減とともに自社株買いと増配も期待でき、配当利回りに着目した投資価値が一層高まるものと見込まれる。
What is the news?
7/24発表の2019/12期2Q（4-6月）は、売上高が前年同期比15.3％増の449.57億USD、EBITDAが同13.7％増の146.01億USD、純利益が同27.7％減の37.13億USD、合併に係る一時的な償却費や統合関連費用および従業員給与に係る非現金支出損失などを考慮した調整後EPSが同2.2％減の0.89USD。2018/6に854億USDで買収したタイムワーナーの寄与により増収となったが、通信部門のエンターテイメント事業においてプレミアムビデオの純加入者数が同8.7％減の2,158.1万人、およびDIRECTV NOWの純加入者数が同25.9％減の134.0万人と減少したことが響き、純利益および調整後EPSは減益だった。その一方、フリーキャッシュフロー（FCF）は同72.1％増の88.12億USDと四半期で過去最高だった。
セグメント部門別の調整後EBITDAは次の通り。通信部門は同2.3％増の133.57億USD。モビリティ事業が同3.1％増となり増益に寄与した。ワーナーメディア部門は同5.4％増の20.61億USD。ワーナーブラザース事業とターナー事業の利益が堅調に伸びた。ラテンアメリカ部門は同57.4％減の6,300万USD、Xandr部門は同1.5％増の3.38億USDだった。
How do we view this?
2019/12通期の会社計画は、FCFが280億USD、調整後EPSの前期比伸び率（％）が同1桁台前半、配当性向が50％台。FCFの1H（1-6月）実績の対計画進捗率は52.4％と順調である。同社はタイムワーナー買収に際して膨らんだ有利子負債削減に重点を置いており、2019年末に純有利子負債残高を対買収時点比16.7％減の1,500億USDまで削減する方針である。エンターテイメント事業の純加入者数減少は懸念材料だが、利益率が低い顧客層の解約による利益率向上のプラス要因も見込まれる。FCFの順調な増加により、有利子負債削減にとどまらず自社株買いと増配も期待できよう。それに伴い、配当利回りに着目した同社への投資価値も一層高まることが予想される。2019/12通期の市場予想は、売上高が同6.8％増の1,824.47億USD、純利益が同7.4％減の179.38億USD。
終値(USD) 37.47 2019/10/14
会社概要
1983年設立。地域および長距離電話サービスを始めとして世界中で情報通信、メディア、および技術サービスを提供しており、通信、ワーナーメディア、ラテンアメリカ、およびXandrの4つのセグメントで運営されている。
通信部門は、 1億人以上の米国消費者向けに、テレビ、モバイル、ブロードバンドサービス全体でエンターテイメントと通信サービスを提供し、更に、高速で安全性の高い通信接続により、約300万件の企業にサービスを提供している。ワーナーメディア部門は、HBO、Warner Bros.、TNT、TBS、truTV、CNN、DC Entertainment、New Line、Cartoon Network、Adult Swim、 ターナークラシック映画などの消費者ブランドを通じ、コンテンツを世界中の視聴者に配信している。ラテンアメリカ部門は、ラテンアメリカとカリブ海の11の国と地域で有料テレビ番組を放映している。Xandr部門は、AppNexusプラットフォームを通じ、プレミアム・ビデオコンテンツとデジタル広告に関する消費者向けの広告ソリューションをマーケティング担当者に提供している。
企業データ（2019/10/15)
ベータ値 0.91
時価総額(百万USD) 273,793
企業価値=EV(百万USD) 469,668
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 1,142.4
1.VANGUARD GROUP 7.71
2.ブラックロック6.29
3.ステート・ストリート4.06
（出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成）
本レポートの発行元：フィリップ証券株式会社〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町4番2号
TEL:03-3666-2101 URL： http://www.phillip.co.jp/
本レポートの作成者：フィリップ証券 リサーチ部
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 国際公認投資アナリスト 笹木和弘
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。フィリップ証券は、レポートを提 供している証券会社との契約に基づき対価を得ております。当資料に記載されている内容は投資判断の参考として筆者の 見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものではありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身 の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害につ いても責任を負いません。当資料の一切の権利はフィリップ証券株式会社に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じま す。
＜日本証券業協会自主規制規則「アナリスト・レポートの取扱い等に関する規則平14.1.25」に基づく告知事項＞ 本レポートの作成者であるアナリストと対象会社との間に重大な利益相反関係はありません。
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。
