名場面連発で盛り上がる兆しの「トランプ劇場」
米国ウィークリー 2019/7/2号
- 6/25以降の米国株式市場は、6/28まではG20大阪サミット前に米中首脳会談待ちの様子見姿勢が強く、NYダウが昨年10/3の過去最高値26,951ドルを目前にして揉みあう展開だった。その後、6/29の米中首脳会談と6/30の米朝首脳会談を経て、NYダウの27,000ドル超えへの視界が開けてきたかのようである。
- 米中両首脳は会談で貿易協議の再開を決めた。トランプ大統領が関税第4弾の発動を期限を決めずに先送りし、米企業による中国ファーウェイ向け部品供給を認めることで合意した。その一方で、中国は米農産品の輸入拡大を約束した。これに加えて、6/30にはツイッターによるトランプ大統領の呼びかけに北朝鮮の金正恩委員長が応じて非武装地帯の板門店にて電撃的な会談を行い、核問題を巡る協議再開で合意した。トランプ大統領からすれば2020大統領選挙再選のために、共和党の基盤である農業州の支持を繋ぎとめる必要から中国に対して妥協が必要だったこと、および「朝鮮半島での軍事境界線を越えた史上初の米大統領」という実績を米国民にアピールする目的があったと推察される。再選に向けての「トランプ劇場」が佳境に入ってきたかのようである。特に、米企業によるファーウェイ向け部品供給を認めたことは株式市場にとってポジティブ・サプライズとなり、大きなリスク要因の一つが緩和された面があろう。
- ただし、昨年成立した米国防権限法2019により、8/13から米政府機関とファーウェイを含む中国企業5社との取引が禁止され、その1年後からは同5社の製品を使う企業との取引も禁止されることとなっている状況には変わりない。米中問題への楽観視は禁物であろう。また、今回の米中合意を契機に年後半の景気減速懸念が遠のくとなれば、「米中合意期待」とともに株式市場のもう一つの浮力エンジンであった「利下げ期待」が弱まることに繋がることから、徐々に上値が重くなる展開も想定される。更に、イランを巡る核合意に関して低濃縮ウランの貯蔵量が6/27に規定量を超えたことから、中東での地政学リスクが高まる懸念が残る。週末の米中協議休戦および米朝会談における核問題協議再開も、米国の国際政治に係る戦略の優先順位がイラン核問題にシフトしている面の表れという見方もでき、必ずしも見晴らしが良くなるばかりではないだろう。
- 投資戦略の面では、半導体関連と農作物・穀物関連のリバウンドを狙う短期的視点と、米中問題に業績が影響されにくい銘柄を探す中長期的視点の複眼的な投資戦略を持ち併せるべき局面と言えよう(笹木)
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(6/28現在)
■主な企業決算 の予定
●7月2日(火):アキュイティー・ブランズ、グリーンブライアー・カンパニーズ
●7月3日(水):インターナショナル・スピードウェイ
●7月8日(月):AZZ
■主要イベントの予定
●7月2日(火)
・ニューヨーク連銀総裁講演(チューリッヒ)、米クリーブランド連銀総裁講演(ロンドン)
・米、対中関税に関する公聴会後の意見公募期間終了
・自動車販売(6月)
・ユーロ圏PPI(5月)
●7月3日(水)
・独立記念日の前日で米株式・債券市場は短縮取引
・ADP雇用統計(6月)、新規失業保険申請件数(6月29日終了週)
・製造業受注(5月)、耐久財受注(5月 改定値)、貿易収支(5月)、
・ISM非製造業総合景況指数(6月)
・ユーロ圏総合PMI(6月)、ユーロ 圏サービス業PMI(6月)
・中国財新サービス業PMI(6月)、中国財新コ ンポジットPMI(6月)
●7月4日(木)
・独立記念日の祝日で米株式・債券市場は休場
・ユーロ圏小売売上高(5月)
●7月5日(金)
・雇用統計(6月)
・独製造業受注(5月)
●7月7日(日)
・ギリシャ総選挙
・中国外貨準備高(6月)
●7月8日(月)
・消費者信用残高(5月)
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 国際公認投資アナリスト 笹木和弘
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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