23日の東京株式市場で、日経平均株価に対するマイナス寄与度でソフトバンクが最大となった。サウジアラビアの著名記者ジャマル・カショギ氏の殺害にムハンマド皇太子が関与しているとの見方が強まるなか、ファンド運営で皇太子と連携するソフトバンクが売られた。
ソフトバンクの終値は前日比2.93%安の9157円。日経平均を30円67銭押し下げた。
サウジの脱石油構想を掲げる皇太子が会長を務めるのが政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)。規模は3000億ドル超とされている。
17年に発足したソフトバンクの「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」にPIFは450億ドルを出資しており、さらに450億ドルを追加出資する方針が報じられている。
記者の失踪が伝えられた後、ビジョン・ファンドへの潜在的なリスクを理由にソフトバンクは低迷。同社の首脳は、ビジョン・ファンドへの影響を判断するには時期尚早との見方を示しているという。
ムハンマド皇太子が主催する経済フォーラム「未来投資イニシアチブ」(FII)が23日にサウジで始まる。皇太子失脚の可能性も一部でささやかれるなか、有力政治家や経営者が参加見合わせを表明。PIFが35億ドルを出資する大口投資先である米配車大手ウーバーテクノロジーズのダラ・コスロシャヒ最高経営責任者(CEO)もその一人だ。
さらに、PIFが最大200億ドルの拠出を約束しているインフラファンドを運営するブラックストーン・グループもフォーラムへの不参加を明らかにしている。