Beyond BYND(ビヨンド・ミートの向う側)
米国ウィークリー 2019/7/23号
- 7/15以降の米国株市場は、主要企業の2019/4-6月期決算発表と7月末のFOMCに向けた利下げ期待の高まりを主な要因として動いた。4-6月期決算については、シティG(C)、ゴールドマンサックス(GS)、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー(JPM)などの金融株は市場予想を上回り、IBM(IBM)やマイクロソフト(MSFT)は法人向けクラウドサービスが好調だった。しかし、米国成長企業の中でも高時価総額の「FAANG」の一角を担うネットフリックス(NFLX)が市場予想を大幅に下回る有料契約者数を発表したことから他の主要企業に対する決算への懸念が拡大し、7/18にNYダウで27,068ドルの安値を付けた。
- 企業業績の先行きへの懸念を払拭したのは、7/18のNY連銀ウィリアムズ総裁の講演だった。FOMCの投票権を持ち、副議長も努めるウィリアム議長が「低金利で追加の景気刺激策の余地が少ない場合は、経済悪化の最初のサインが出た時点で素早く利下げするべきだ」と踏み込んだ発言をしたことが、0.5%pt利下げへの期待を高めた。今週は主要企業における4-6月期決算発表が本格化する。7/19に半導体の受託生産で世界シェア5割を占める台湾積体電路製造(TSMC)が決算発表で7-9月期に営業増益に転じる見通しを示して半導体関連株の買戻しを活発化させた流れが続くかどうかも重要なポイントとなろう。
- 米国株のIPOの中でもビヨンド・ミート(BYND)が5/2上場後、7/19終値176.79USDと公開価格25.00USDに対して7.1倍の上昇となっている。これは単に「ビーガン(菜食主義者)」向けの代替肉需要への期待の高まりには留まらない。食肉生産などの伝統的な畜産業に対して、地球で排出される温室効果ガスのどれだけを排出しているのか、地球上の水の使用によって土地がどれだけ干ばつや砂漠化に繋がっているかなどの地球環境保護の観点が意識されており、その背後に「ESG(環境・社会・企業統治)投資」マネーがあることも無視できない。産業廃棄物処理のウェイスト・マネジメント(WM)など環境関連銘柄の中に株価パフォーマンスが良好なものが見られるのもその一例だろう。トランプ政権は「パリ協定」から離脱するなど地球環境保護に積極的とは言えないが、ESGを意識したグローバル・マネーは米国の政策動向にかかわらず米国株に投資している面もあろう。もし仮に2020大統領選挙で民主党候補者が勝利するならば米国の環境保護政策が一気に高まることが予想される。銘柄選択においてはESGの観点を取り入れることも重要となってくるだろう。(笹木)
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(7/19現在)
■主な企業決算の予定
●7月23日(火):センティーン、フィフス・サード・バンコープ、エイブリィ・デニソン、キーコープ、キンバリー・クラーク、コカ・コーラ、パルトG、ハーレーダビッドソン、バイオジェン、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、ユナイテッド・テクノロジーズ、ペンテア、テキサス・インスツルメンツ、インターパブリック・G、ロッキード・マーチン、トラベラーズ、パッカー、ラム・ウェストン・HD、チャブ、チポトレ・メキシカン・グリル、ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ、エドワーズライフサイエンス、ビザ、ファーストエナジー
●7月24日(水):アンセム、VF、アンフェノール、WWグレンジャー、サーモフィッシャーサイエンティフィック、AT&T、ノーフォーク・サザン、ザイリンクス、ナスダック、ペイパル・HD、IQVIAHD、ネクステラ・エナジー、アレクシオン・ファーマシューティカルズ、DTEエナジー、TEコネクティビティ、ボストン・サイエンティフィック、ゼネラル・ダイナミクス、ノースロップ・グラマン、ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)、ボーイング、フリーポート・マクモラン、ローリンズ、フリアーシステムズ、キャタピラー、ノーザン・トラスト、アライン・テクノロジー、フォード・モーター、テクニップFMC、バリアンメディカルシステムズ、エセックス・プロパティー・トラスト、フェイスブック、トーチマーク、シトリックス・システムズ、アメリプライズ・ファイナンシャル、レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル
●7月25日(木):アフラック、サウスウエスト航空、インベスコ、バクスターインターナショナル、コムキャスト、ブリストル・マイヤーズスクイブ、バレロ・エナジー、ボルグワーナー、ニューモント・マイニング、エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、ウエイスト・マネジメント、アレジオン、フォーティブ、インターナショナル・ペーパー、ハーシー、ハンチントン・バンクシェアーズ、ローパーテクノロジーズ、マスコ、エジソン・インターナショナル、バルカン・マテリアルズ、アラスカ・エア・G、LKQ、トラクター・サプライ、インテル、アメリカン・エレクトリック・パワー、ロックウェル・オートメーション、キムコ・リアルティ、アマゾン・ドット・コム、CMSエナジー、アメリカン航空G、レイセオン、3M、Dow Inc、ベリサイン、ストライカー、ジュニパーネットワークス、アルファベット、プリンシパル・ファイナンシャル・G、レスメト、ユニバーサル・ヘルス・サービシズ、MGMリゾーツ・インターナショナル、スターバックス、アーサー・J・ギャラガー、エクスペディア・G、SVBファイナンシャル・G、ファイサーブ
●7月26日(金):ジンマー・バイオメット・HD、エーオン、ツイッター、マクドナルド、チャーター・コミュニケーションズ、ウェアーハウザー、コルゲート・パルモリーブ、フィリップス66、アッヴィ、イリノイ・ツール・ワークス
■主要イベントの予定
●7月23日(火)
・FHFA住宅価格指数(5月)、中古住宅販売件数(6月)
・英与党保守党が党首選の結果公表、ユーロ圏消費者信頼感指数(7月)
・IMF世界経済見通し
●7月24日(水)
・特別検察官としてロシア捜査を率いたモラー氏、下院委員会で証言
・新築住宅販売件数(6月)
・ユーロ圏マネーサプライ(6月)、ユーロ圏総合・製造業・サービス業PMI(7月)
●7月25日(木)
・卸売在庫(6月)、耐久財受注 (6月)、新規失業保険申請件数(20日終了週)
・ECB政策金利発表・記者会見、独IFO企業景況感指数(7月)
●7月26日(金)
・GDP(2Q、速報値)
●7月27日(土)
・中国工業利益(6月) (Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員 国際公認投資アナリスト 笹木和弘
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員補 増渕透吾
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