決算本格化、緩やかながら上昇基調継続へ!
米国ウィークリー 2019/1/22号
- 1/21発表の中国のGDP成長率は、2018/4Q(10-12月)が6.4%増と3Q(7-9月)の6.5%から鈍化も市場予想に一致。2018年年間ベースは前年比6.6%増と2017年の同6.8%増から低下し1990年以来、28年ぶりの水準となったが政府目標の6.5%前後の成長率を上回った。発表を受けて上海総合指数は上昇。GDPの他、12月の小売売上高は前年同月比8.2%増と市場予想及び前月の同8.1%増を上回り、鉱工業生産は、同5.7%増と市場予想の同5.3%増、前月の同5.4%増を上回った。また、年初来の固定資産投資は、前年比5.9%増と市場予想の同6.0%増を下回ったが、総じてこれら重要経済指標は、市場予想前後となり投資家の安心材料になったと見られる。
これまで中国経済の減速、米中貿易摩擦の影響などを織り込み下落が続いた上海総合指数は1/4の2,440.906を底に上昇が続き、75日移動平均線水準を取り戻している。同総合指数は1/21現在、年初来で4.68%高。米中通商交渉進展期待の高まり、矢継ぎ早の政府による景気対策が市場心理を好転させているようだ。
- 1月上旬に北京で行われた通商協議で、中国は米国からの輸入拡大の6ヵ年計画を提示していたことが明らかになった。1/30-31の米国での通商協議では、関税引き下げを提案する見通しの米国側からムニューシン財務長官とライトハイザーUSTR代表、中国から劉鶴副首相が参加する予定である。米国株も米中交渉の進展期待などからS&P500が1/18現在で年初来6.54%高となっており、セクター別にはエネルギーが同11.19%高、金融が同9.03%高、資本財・サービスが同8.85%高となっている。
2018年に約34%下落したゴールドマン・サックス(GS)の株価は年初来で21.25%上昇となるなど、悲観シナリオの巻き戻しが進み始めている。Bloomberg集計による1/18時点のS&P500構成銘柄のEPS増益率見通しは、2018/4Q(10-12月)で前年同期比11.75%増。金融セクターを中心とした4Q決算の滑り出しは、軒並み市場予想を上回っている。IBMやインテル(INTC)、資本財のユナイテッド・テクノロジーズ(UTX)やキャタピラー(CAT)などハイテクや中国関連などの業績動向に注目したい。ただ、米中通商交渉における知的財産権での進展が見られない状況や、メキシコ国境の壁建設を巡る与野党の攻防の長期化など懸念材料も燻る。NYダウは、今期予想ベースのPERが14倍台後半とヒストリカルに見て割安水準にあり、上値余地は大きいと見るが、2018/12/26の直近安値から1/18の終値24,706.35ドルまで約3,000ドル上昇(13.8%高)しており、今後の上昇ピッチは緩やかとなる可能性もあろう。(庵原)
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(1/18現在)
主な企業決算 の予定
- 1月22日(火):ウィン・リゾーツ、スタンレー・ブラック・アンド・デッカー、プロロジス、ハリバートン、フィフス・サード・バンコープ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、トラベラーズ、キャピタル・ワン・ファイナンシャル、IBM
- 1月23日(水):ロイヤル・カリビアン・クルーズ、ユナイテッド・テクノロジーズ、ノーザン・トラスト、P&G、コムキャスト、キンバリー・クラーク、アボットラボラトリーズ、ド・レンタルズ、F5ネットワークス、ラムリサーチ、ザイリンクス、レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル、テキサス・インスツルメンツ、シトリックス・システムズ、フォード・モーター
- 1月24日(木):ハンチントン・バンクシェアーズ、マコーミック、テキストロン、アメリカン航空グループ、フリーポート・マクモラン、サウスウエスト航空、アメリカン・エレクトリック・パワー、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、ユニオン・パシフィック、WWグレンジャー、インテュイティブサージカル、ディスカバー・ファイナンシャル・サービシズ、ウエスタンデジタル、SVBファイナンシャル・グループ、ノーフォーク・サザン、アラスカ・エア・グループ、スターバックス、Eトレード・ファイナンシャル、インテル
- 1月25日(金):エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ、アッヴィ、DRホートン、コルゲート・パルモリーブ
- 1月28日(月):アフィリエーテッド・マネジャーズ・グループ、キャタピラー、セラニーズ、ワールプール
■主要イベントの予定
●1月22日(火)
- 12月の財政収支、小売売上高、住宅着工件数(2/1までに発表)、中古住宅販売件数、
- 11月の卸売在庫、新築住宅販売件数、製造業受注、貿易収支(2/1までに発表)
- 世界経済フォーラム(WEF)年次総会(スイス・ダボスで、1/25まで)トランプ大統領は欠席へ
- EU財務相理事会、英失業率(9-11月)、独1月のZEW景気期待指数
●1月23日(水)
- 11月のFHFA住宅価格指数
- ユーロ圏 消費者信頼感指数(1月、速報値)
●1月24日(木)
- 新規失業保険申請件数(1月19日終了週)、12月の先行指数
- ECB金融政策会合・記者会見、ユーロ圏1月の総合PMI 、製造業PMI、サービス業PMI (速報値)
- 韓国中銀金融政策会合、マレーシア中銀金融政策会合、豪12月の雇用統計、フィリピンGDP(10-12月)
●1月25日(金)
- 米12月の耐久財受注、新築住宅販売件数
- ECB専門家予測調査
- 独1月のIFO企業景況感指数
●1月28日(月)
- 12月のシカゴ連銀全米活動指数、1月のダラス連銀テキサス製造業活動指数
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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