米金利の上昇は一服しているがインフレ期待は根強い / ドル円とユーロドルのチャートポイント
サマリー:「米金利の上昇は一服しているがインフレ期待は根強い。インフレと金融政策の転換という世界の流れに遅れている円には売り圧力がかかりやすい。ドル円とユーロドルのチャートポイントは?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
米金利の上昇は一服しているがインフレ期待は根強い
米債市場では利回りの上昇が一服している。特に長期金利(10年債利回り)は昨日、一時1.51%を割り込む局面が見られた。
一方、期待インフレ率の動向を確認すると、1年先の予想は3.50%と、今年7月下旬以来の水準まで上昇している。5年と10年のそれらも9月のFOMC以降(9月22日以降)、上昇トレンドを維持している。これらの動向は、市場が抱くインフレ期待が根強いことを示唆している。
また、昨日発表された9月の米生産者物価指数は、前月比で8月から低下した。しかし、前年同月比では8月の8.3%から8.6%へと上昇している。コア指数も同様に8月の6.7%から6.8%へ上昇している。
根強いインフレ期待や消費者物価指数(CPI)の高止まりも考えるならば、インフレを意識する相場は続く可能性がある。
よって、米債市場では利回りが低下する局面を挟みながらも、緩やかな上昇トレンドを維持することが予想される。
期待インフレ率のチャート
世界の潮流に乗り遅れた日本と円安
米金利との相関性がとりわけ高い通貨ペアが、ドル円(USDJPY)である。よって米金利が低下する局面では、ドル円の反落を筆者は予想していた。しかし、現状ではその動きが見られてもドル円の下落幅は限定的となっている。
この背景にあるのが、「世界の潮流に乗り遅れた日本」という構図にあると筆者は考えている。
現在、世界では供給制約と資源価格の上昇によりインフレ懸念が高まっている。それが故に、各国中銀は金融政策の正常化に向けて動き出している。
一方、日本のインフレ率(CPI)はマイナス0.4%、食料とエネルギーを除いたコアコアCPIもマイナス0.5%と、デフレからの脱却に四苦八苦している。
当然、黒田日銀も金融緩和政策のスタンスを維持せざるを得ない状況にある。
今年前半は「ワクチン接種に乗り遅れた日本」という構図が意識され、円安の圧力が高まった。しかし、現在意識されている構図の根本にあるのは、経済のファンダメンタルズ(インフレ)と金融政策のスタンスにあるため、中長期的に円安が続く可能性があろう。市場参加者もこの点を意識しているが故に、米金利が低下しても今のドル円は底堅さを維持していると考えられる。
主要国のインフレ率
ドル円とユーロドルのチャートポイント
・ドル円(USDJPY)
ドル円(USDJPY)が上昇する場合、上値の焦点は113.70-80レベルの攻防である。直近はこの水準で上昇が止められている。
上で述べたとおり、インフレが意識される状況が続いている以上、米金利は低下の局面を挟みながらも上昇基調の維持が予想される。
よって、ドル円は113.70-80レベルを突破する可能性が現時点では高い(本日の東京時間で高値113.927を付ける局面あり)。
113.70-80レベルの突破に成功する場合、次の焦点は114円のトライとなろう。
114円台の攻防へシフトする場合、最大の焦点はトランプ前政権時代に何度も相場の上昇を止めた114.50レベルの攻防である(ドル円チャート② 週足チャートを参照)。
一方、ドル円が反落する場合は、昨日のレポートで指摘した水準での攻防に注目したい。特に113.20台および113.00前後での攻防に注目したい。
ドル円のチャート①
ドル円のチャート②
・ユーロドル(EURUSD)
ユーロドル(EURUSD)は、10日EMA(1.1588レベル)より上の水準で推移している。しかし、昨日は21日EMA(1.1628レベル)の手前で上昇が止められ長い上ヒゲが示現した。
米金利の上昇が一服する一方で欧米株式が上昇しても(株高のみのリスク選好相場となっても)、21日EMAすらトライ出来ない状況は、ユーロドルの地合いの弱さを示唆している。この点を考えるならば、反発のトレンドを維持しても21日線で反落する展開を想定しておきたい。
ユーロドルが反落する場合の焦点は、10日線がレジスタンスラインからサポートラインへ転換するかどうか?この点にある。サポートラインへ転換する場合は、来週以降も21日線トライの可能性を意識する状況が続くと予想する。
逆に10日線をあっさりと下方にブレイクする場合は、サポートポイントとして意識されている1.1527レベルの再トライを想定しておきたい。
ユーロドルのチャート
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