インフレ期待と実質金利が外為市場に与える影響 / ユーロドルとポンドドルのチャートポイント
サマリー:「インフレ期待の上昇でアメリカの実質金利は再びマイナス幅が拡大傾向に。米ドル買いと売りの要因が交錯する中、ユーロドルの注目ポイントは?ポンドドルのチャートポイントは?」詳細はマーケットレポートをご覧ください。
インフレ期待と実質金利が外為市場に与える影響
・上昇トレンドのインフレ期待
昨日のNY原油先物(WTI)は、利益確定の売りに圧されて上昇が一服した。
この動きに連動するように米債市場では、長期金利が1.67%レベルから1.62%台まで低下した。
一方、市場が抱く期待インフレ率(インフレ期待)の動向を確認すると1年、5年そして10年のそれらは上昇トレンドを維持している。この一連の動きは、「インフレは一時的ではない」可能性を投資家が意識していることを示している。「インフレは一時的」と主張し続けてきたパウエルFRB議長も今月22日のオンライン討論会で、インフレが長引くリスクについて言及し警戒レベルを引き上げてきた。
期待インフレ率のチャート
・再びマイナス幅が拡大する米実質金利
注目すべきは、期待インフレ率の上昇が米実質金利の低下要因となっていることである。5年と10年の実質金利のチャートを見ると再びマイナス幅が拡大していることがわかる。
FRBの政策転換は米ドル相場のサポート要因である。しかし実質金利の低下は米ドル売りの要因である。米ドル買いと売りの要因が交錯する今の外為市場の状況を考えるならば、米金利の上昇が実質金利の反発を促す局面(マイナス幅が縮小する局面)では、米ドル買いを想定しておきたい。
一方、実質金利の低下は、グロース株にとってはポジティブ要因である。よって、昨日のように「株高 / 実質金利低下」の局面(株高のみのリスク選好相場の局面)では、対オセアニア通貨や新興国通貨で米ドル安優勢の展開を予想する。
米実質金利のチャート
ユーロドルのチャートポイント
・ユーロドル(EURUSD)
ユーロドル(EURUSD)は、1.1660-70レベルで反発が止められる状況が続いている。
昨日は陰線により21日EMA(今日現在1.1626レベル)はおろか、1.16台を下方ブレイクする局面が見られた。市場参加者の短期的な予測を反映するリスクリバーサル(1週間)が低下基調へ転じている状況も考えるならば、1.15台への反落を意識する局面に差し掛かっている。
ユーロドルが続落する場合、目先の焦点は今月18日の安値1.1570レベルのトライとなろう。この水準を下方ブレイクし、かつレジスタンスへ転換する場合は、明日以降1.1520台への下落を警戒したい。
一方、上で述べた米実質金利の低下幅が拡大する局面では、1.1660-70のレジスタンスゾーンをトライする状況が続くと予想する。
ユーロドルの反発基調が続きフィボナッチ・プロジェクション61.8%の水準1.1674レベルをブレイクしても、50日EMA(今日現在1.1686レベル)で反発が止められる可能性を意識しておきたい。
ユーロドルのチャート
ポンドドルのチャートポイント
・ポンドドル(GBPUSD)
ポンドドル(GBPUSD)は、2本目の短期レジスタンスライン(チャートの赤ライン、今日現在1.3839レベル)の手前で上昇が止められ、反落ムードが出ている。
しかし、フィボナッチ・リトレースメント23.6%の水準1.3734レベルでサポートされ、50日EMA(今日現在1.3724レベル)を維持している。この状況を考えると、ポンドドルのトレンドが転換したと判断するのはまだ早い。ユーロドル(EURUSD)と同じく、米実質金利が低下する局面ではレジスタンスラインをトライする可能性が残る。
一方、「米金利の上昇→実質金利の反発」の局面では50日線のトライを意識したい。
米金利は資源価格、特にエネルギー価格の動きと今晩の米指標データの内容に左右されると予想する。資源価格の上昇や良好な米指標データの内容が確認される場合、ポンドドルは米ドル買いの圧力により50日線のトライおよび下方ブレイクを想定しておきたい。
ポンドドルが50日線以下の攻防となる場合、1.37台をブレイクする展開を想定しておきたい。テクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準1.3672の攻防となるかどうか?この点に注目したい。
ポンドドルのチャート
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