リスク選好相場と円高
米株は続落しましたが、新興国通貨は意外と堅調でした。投資家のリスク選好スタンスは根強いと言えます。その一方で、コロナ第2波のリスクがくすぶっていることを考えるならば、リスク回避の状況で外為市場はどのような動きとなるのか？この点についても常に注視する必要があるでしょう。
株安でも新興国通貨は崩れず
12日の米国株式市場は、新型コロナウイルスの「感染第2波」に対する懸念が高まり、主要3指数は取引後半に失速。機関投資家がベンチマークとするS&P500指数は、再び2,900ポイントの水準を割り込む展開となった。コロナ問題が意識される局面では米ドルが買われる一方、リスク性の高い新興国通貨には売り圧力が高まるというのがこれまでのパターンだった。しかし、昨日の主要新興国通貨の対米ドルパフォーマンスを確認すると、メキシコペソとブラジルレアル以外で目立った新興国通貨売りは見られなかった。アジア通貨も含めたその他の通貨は対米ドルで若干上昇したか、もしくは売り買いが交錯しただけだった。米株のボラティリティが低下基調にあること、カレンシーベイシススワップ市場では米ドルの調達コストに大きな変化が見られないこと、そして株安局面で新興国通貨売り圧力が高まっていない（米ドル高圧力が高まっていない）状況も考えるならば、投資家のリスクを取りに行くスタンスは今後も続くと予想する。
新興国通貨のパフォーマンス
リスク回避の円買い
そして昨日、筆者がもう一つ注目したのがドル円の動向である。3月のリスク回避局面では米ドル高が円高を凌駕する局面が多く見られた。しかし、FEDの無制限緩和が導入されて以降、「株安→円高優勢」の局面も見られるようになった。昨日のドル円はマイナス0.49％と小幅ながらも反落。つまり円買い圧力が米ドル買い圧力に勝ったということになる。FEDによる大規模な資金供給策の存在を考えるならば、今後はリスク回避の円高というこれまで見られたパターンが見られよう。
現在のところドル円は106.00がサポートポイントとして意識されている。インプライドボラティリティ（1週間）が6％台で低空飛行状態となっている状況を考えるならば、この水準（106.00）をトライする局面は見られても、今後1週間で完全に下方ブレイクする可能性は低い。ボラティリティが再び拡大するならば、そのきっかけはリスク回避による円高圧力の高まりと予想する。一方、リスク選好の局面では米ドル安圧力によって上値が抑制される展開が続こう。107円台へ上昇していることで、目先のレジスタンスポイントは108.00と想定する。107.90－108.00のレンジにはオファーが観測されている。
ドル円チャート
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