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長期戦を覚悟するFED 投資家の心理に変化が見られない中でのユーロドルの焦点は?

今日のサマリー。イレギュラーな米ドル買いは続かない。FEDはコロナショック対策で長期戦を覚悟。経済の先行き不透明感は根強いが投資家の心理に変化なし。ユーロドルは新たなサポートの水準を探る展開へ。詳細はマーケットレポートをご覧ください。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

長期戦を覚悟するFED イレギュラーな米ドル買いは続かない

16日の外為市場は「株高局面での米ドル買い」という珍しい展開となった。

米ドル買いの要因として指摘されたのが、5月の小売売上高だった。
前月比17.7%増と、市場予想の7.0%を大幅に上回る内容だった。
変動幅が大きい自動車や関連部品を除いた内容でも12.4%増(予想5.4%増)と、大幅な上昇となった。

イレギュラーな指標データの好結果にイレギュラーな米ドル買いとなったが、今回の米ドル買いは単発で終息するだろう。

そう考える理由は、コロナショックに対してFEDが長期戦の覚悟を決めているからである。

パウエルFRB議長は16日の上院委員会で、「労働市場には回復の兆しが見られるが、経済の水準は2月時点のそれには遠く及ばない」と指摘。
その上で追加の財政出動の必要性について言及した。
米国経済が回復したと言えるまで、相当の時間がかかることをFEDが意識していることが、議会証言からうかがえる。

FEDが長期戦の覚悟を決めているということは、現在の超金融緩和政策も長期化するということである。
この政策スタンスが転換し無い限り、外為市場では米ドル安圧力が常にかかり続ける環境が続こう。

米ドル相場のパフォーマンス

米ドル相場のパフォーマンスチャート

投資家心理に変化なし 

米国を含めた世界経済の先行きには不透明感が漂うが、現状、投資家の心理に大きな変化は見られない。

例えば、多くの機関投資家がベンチマークとするS&P500指数のボラティリティは、トランプ米政権が発足した2017年から続く安定ゾーン(6~30%)で推移している。

また、FEDは超金融緩和政策に加えて、信用力の低い企業への資金繰り支援も強化している。
これより、リスクイベントに敏感に反応する低格付けの社債の価格は堅調地合いを保っている。

16日のレポート「政策期待がリスク要因を飲み込む相場 ドル円と豪ドル相場のポイントは?」でも指摘したとおり、あらゆるリスク要因を政策期待が飲み込んでいる現在の環境が続く限り、投資家の心理が多少揺れ動くことはあっても、3月のような混乱状態に陥る可能性は極めて低いことをこれらの市場は示唆している。

米国株式の動向

S&P500指数のチャート ボラティリティのチャート

ハイイールド債ETFのチャート

ハイイールド債ETFの価格チャート

ユーロドルは新たなサポートの水準を探る局面へシフト

ドル円がこう着相場へ逆戻りする一方、ユーロドルは新たなレンジを探る局面へシフトしている。

1.14レベルが明確にレジスタンスのポイントとして意識され始めていることを考えるならば、「新たなサポートのポイントがどの水準になるのか?」、この点が目先の焦点となろう。

今月4日以降、相場をサポートしている1.12レベルが第一の候補として浮上している。
今日は、この水準にビッド(ユーロ買いのオーダー)が観測されている。

また、短期のリスク・リバーサル(1週間)を確認すると、反転基調へ転じている。
通貨オプション市場の参加者は、ユーロの底堅い地合いを再び意識し始めていることがうかがえる。

1.12台を下方にブレイクする展開となる場合は、フィボナッチ・リトレースメントの各水準の攻防に注目したい。

筆者が最も注目しているのが、61.80%の水準1.10レベルである。
この水準は5月下旬に上方へブレイクするまで、レジスタンスのポイントとして意識されていた。

一転してサポートへ転換するならば、レンジの下限が切り上がったことを市場参加者は意識するだろう。

ユーロドルのチャート

ユーロドルのチャート リスクリバーサルのチャート

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