コンテンツにスキップする

外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません 外国為替証拠金(FX)及びCFD取引はレバレッジ取引であり、元本や利益が保証されていません

ドル円今週の見通し、レンジブレイクのきっかけは米PCEか 突発的な円高を警戒

ドル円は現在、レンジブレイクの材料待ちムードにある。その材料として今週注目したいのが、10月の米PCE価格指数である。インフレ再燃の可能性が意識されるなかでその粘着性が示される場合は、米ドル高の要因になり得る。一方で今週も、突発的な円高には警戒しておきたい。

Source: Adobe images Source: Adobe images

目次

  • 膠着状態の日米利回り格差がつくり出すドル円のレンジ相場
  • 10月の米PCE価格指数がレンジブレイクのきっかけに?
  • ドル円、今週の見通しとチャート分析
  • 今週も突発的な円高には要注意

膠着状態の日米利回り格差がつくり出すドル円のレンジ相場

ドル円(USD/JPY)は現在、55円を挟んだレンジ相場にある。この要因は、日米利回り格差の動きにあると筆者は考えている。以下に要点をまとめた。

・国内金利は日銀の追加利上げを意識し、じわりと上昇幅が拡大している。特に金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りは先週22日に0.585%と、2008年11月以来の高水準まで上昇した。10年債利回りも1%台の水準へしっかりと上昇している

・アメリカの2年債と10年債の各利回りは4.3%、4.4%とそれぞれ高い水準にある。しかし、国内金利とは対照的に上昇幅が抑制されている

・国内金利の上昇と米金利の高止まりを受け、日米利回り格差の拡大が一服、11月以降は横ばいで推移している。この動きに連動し、ドル円はレンジ相場に陥っている

日米の利回り格差とドル円:日足 24年5月以降

日米利回り格差とドル円:日足 24年5月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 11月22日までの動向

米PCE価格指数がレンジブレイクのきっかけに?

今週28日は感謝祭でアメリカ市場が休場となる。翌29日に連休を取る市場参加者もいるだろう。アメリカの株式と債券の市場は短縮取引となる。ゆえに、今週の外為市場は27日までの動きを注視したい。
ドル円(USD/JPY)がレンジ相場から脱却するきっかけとなり得るのが、アメリカの経済指標である。今週も11月の消費者信頼感指数や新規失業保険申請件数などいくつかの重要指標があるが、注目は27日の10月個人消費支出価格指数(PCEデフレーター)である。米金利とドル円に与える影響を以下にまとめた。

・アメリカの大統領選挙で共和党のトランプ候補が勝利をおさめ、議会選挙では共和党が上下両院を制した。「トリプルレッド」の実現を受け、主要なトランプ政策がアメリカ議会を通過する可能性が各段に高まった

・米金利は4%台と、投資妙味として魅力的な水準にある。しかし、今のところ米国債の買い戻しは限定的である。トランプ候補と共和党優勢の報道が見られたアメリカ選挙前から米金利が上昇し始めていた状況を考えるならば、今の米金利の高まりは、トランプ政策によるインフレ再燃の可能性を早くも意識した動きと考えることができる

・今週27日に10月の米個人消費支出(PCE)価格指数が発表される。トレンドを示す前年同月比は9月から伸びが加速することが見込まれている(下のグラフを参照)

・FRBが最も注視する物価指数でインフレの粘着性が確認される場合は、12月の利下げ期待の後退要因となろう。インフレ再燃と利下げ期待の後退は、米金利の押し上げ要因となろう。外為市場では米ドル高がさらに進行し、ドル円はレンジ相場を上方ブレイクする可能性が高まろう

アメリカ個人消費支出(PCE)価格指数:23年10月以降

アメリカ個人消費支出価格指数:23年10月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:10月の市場予想


ドル円、今週の見通しとチャート分析

レジスタンスライン

ドル円(USD/JPY)は現在、155円を挟んでレンジ相場にある。153円台へ下落する局面は見られるが、21日線がサポートラインとなり底堅さを維持している。また、50日線と100日線はゴールデンクロスへ転じている。今週のアメリカ経済指標が米ドル高の要因となれば、以下で取り上げるレジスタンスラインの攻防に注目したい。

・日足のMACDはデッドクロスへ転じている。しかしゼロラインを目指すムードにはない。一方、モメンタムはゼロラインを上回り、50日線と100日線はゴールデンクロスへ転じている(いずれも日足チャートを参照)。テクニカルの面で、ドル円は強気地合いを維持している

・ドル円の上昇局面では、今週155.00と交錯するトライアングル上限の攻防に注目したい(1時間足)。短期レジスタンスラインでもある上限のラインを完全に突破する局面では、156.00のトライを想定したい

・ドル円が156円台へしっかりと上昇する場合は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準156.67レベルの上方ブレイクが再び焦点として浮上しよう(日足チャート)

・ドル円が76.4%戻しをも完全に突破すれば、157円への上昇を想定したい

サポートライン

短期金融市場では、12月の会合で日銀が追加利上げに踏み切る可能性を意識し始めている。この状況で、日足のMACDはデッドクロスへ転じている。モメンタムもゼロライン付近で横ばい推移にある。いずれの動きも、強気の地合いがじわりと後退する状況を示唆している。下で述べるリスクリバーサルの動きも考えるならば、今週も突発的な円高によるドル円(USD/JPY)の下落を警戒したい。注目のサポートラインを以下にまとめた。

・アメリカ大統領選挙以降、21日線がサポートラインとして意識されている。ドル円の下落局面では、今週もこの移動平均線の維持が焦点となろう。トライアングルの下限と半値戻しの水準154.00の下方ブレイクは、21日線をトライするサインと捉えたい(1時間足)

・ドル円が21日線を完全に下方ブレイクする場合は、1時間足にプロットしたフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準153.37レベルのトライが焦点となろう。今月11日以降、この水準はサポートラインとして意識されている

・下で述べる円高の要因が重なる場合は、瞬間的にフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準152.57レベルをトライする展開を想定しておきたい(1時間足)

ドル円のチャート

ドル円:日足 24年7月以降

ドル円:日足 24年7月以降

出所:TradingView

ドル円:1時間足 11月5日以降

ドル円:1時間足 11月5日以降

出所:TradingView

※ドル円のチャート:11月22日時点までの動向

今週も突発的な円高には要注意

10月の米PCE価格指数がドル円(USD/JPY)の上昇要因となっても、先週に続き突発的な円高による下落には警戒したい。その理由を以下にまとめた。

・ウクライナ軍が射程の長い米国製のミサイルATACMS(エイタクムス)でロシアを攻撃したことで、ロシアーウクライナ情勢がさらに危険な領域へ突入している。ロシアのプーチン大統領は22日、クレムリンで開いた国防省と軍需産業の代表者らとの会議で、新型の中距離弾道ミサイルによる攻撃を続けると述べた。
またイギリスBBCは23日、フランスのバロ外相が、同国がウクライナに供与した長距離ミサイル「SCALP」でロシア領内を攻撃することを容認する考えを示したと報じた。戦闘の激化は、リスク回避の円高要因として警戒したい

・短期金融市場では、12月の金融政策決定会合で日銀が追加の利上げに踏み切る可能性を強く意識し始めている。アメリカ大統領選挙前に30%前後で推移していた利上げ確率は、先週22日時点で60%まで上昇している(OISに基づく予想確率)。利上げ期待の高まりは、突発的な円高の要因となろう

・通貨オプション市場のリスクリバーサル(1週間/1ヶ月)がドルプットへ傾いている。予想変動率の上昇は抑制気味のため、今夏のようにドル円が急落する可能性は現時点では低い。しかし、予想変動率はイベントで大きく動くことが予想される。国外ではロシアーウクライナの地政学リスク、国内では利上げ期待の高まりや円安けん制などの円高要因に注意したい

・突発的な円高の局面では、上で取り上げたフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準152.57レベルまで瞬間的に下落する展開を想定しておきたい

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 24年7月以降

ドル円のリスクリバーサルと予想変動率:日足 24年7月以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成


本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

IG証券のFXトレード

  • 英国No.1 FXプロバイダー*
  • 約100種類の通貨ペアをご用意

* 英国内でのCFDまたはレバレッジ・デリバティブ取引(英国でのみ提供)での取引実績において、FX各社をメイン口座、セカンダリー口座として使用している顧客の割合でIGがトップ(Investment Trends UKレバレッジ取引レポート 2022年6月)

リアルタイムレート

  • FX
  • 株式CFD
  • 株価指数CFD

※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。

モーニングメール

ストラテジストによる「本日の予想レンジとトレンド」を毎朝※無料でお届け中! ※メール送信は基本的に月~金の平日を予定しておりますが、ストラテジストの都合により予告なく送信を行わない日がございますので、予めご了承ください

弊社の個人情報保護方針・アクセスポリシーにご同意の上、申し込みください。

こちらのコンテンツもお勧めです

IG証券はお取引に際してお客様がご負担になるコストについて明確な情報を提供しています。

FX/バイナリーオプション/CFDのリーディングカンパニー。IG証券について詳しくはこちら

その日の重要な経済イベントが一目でわかるカレンダー。「予想値」、「前回値」、「発表結果」データの提供に加え、国名や影響度によるイベントのスクリーニング機能も搭載。