今月 最も注目すべきは米株の動向
米中対立が緩和に向かうという前提が崩れなければ、今月のドル円は堅調地合いを維持するでしょう。円相場も円安優勢で推移すると予想します。しかし、その前提が崩れる場合、まず米株が崩れるでしょう。そして米株の動きに連動し円高圧力が高まるでしょう。米株に注目する理由は?マーケットレポートをご参照ください。
・今月 最も注目すべきは米株の動向
アベノミクス後(2013年以降)の12月のドル円は、年後半にリスク回避圧力が高まった2015年と2018年以外は売り買い交錯の堅調地合い、もしくは上昇トレンドとなった。2018年はFEDリスクによりドル円の下押し圧力が高まったが、そのFEDが緩和スタンスへ転じている現状を考えるならば、現在のリスク回避要因は米中の通商対立のみである。その米中だが、第1フェーズの協議が詰めの段階にきているとの報道が流れている。現在の各市場は米中対立が緩和に向かうという前提で動いている。この前提が崩れない限り、今年12月のドル円は堅調地合いとなろう。
そのドル円以上に上記の前提を強く意識しているのが米株である。昨日は冴えないISM製造業景況感指数が意識され下落したが、主要3指数は未だ最高値圏での攻防を維持している。今年の12月は、その米株が波乱要因となる展開を警戒する必要がある。筆者がそう考える理由はボラティリティの動向である。20日間の値動きを標準偏差にし、それを年率換算したボラティリティを確認すると、低すぎる水準6%前後で右往左往している。一時5.0%の水準すら割り込んだボラティリティは昨日、再び6%台へと上昇している。2018年以降のトレンドパターンを確認すると、「6%割れ→6%回復」後にボラティリティが急拡大している。マーケットとは不思議なもので、タイミング良く(もしくは悪く)トレンドパターンを再び生じさせる「何か」に往々にして直面する。上述した米中対立が緩和に向かうという前提の崩壊が、目先注視すべき「何か」である。しかし、それ以外の「何か」で米株が崩れる可能性もある。理由が何にせよ米株が崩れる場合、ドル円には下押し圧力が高まろう。クロス円も円高優勢の展開となろう。
【米株とボラティリティ】
・ドル円のテクニカル分析
2日は大陰線が示現し、109.70台での売りの強さを市場関係者に印象付けた。よって、目先の新たなレジスタンスポイントとして109.70レベルを想定する。このレベルにはオファーが観測されている。109.70を上方ブレイクする展開となれば、110.00トライを予想する。米株のブルトレンド維持がその土台となろう。一方、下値の焦点は21日MAと200日MAがクロスしている108.90台の攻防が焦点となろう。昨日はこれらMAで相場がサポートされた。通貨オプション市場のリスクリバーサル(1週間)を確認すると、再び低下基調へ転じている。超短期スパンでは上記のMAブレイクを警戒したい。108.90以下の攻防へシフトする場合、次の焦点は106円ミドル(10月上旬安値レベル)を起点とした短期サポートラインとなろう。このラインは今日現在108.65前後で推移している。108.60および108.50にはビッドが観測されている。
【ドル円】
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