焦点は人民元、株式そして豪ドルの動向
ウイルス相場はひとまず小康状態となっています。しかし、中国人民元のオフショアレートは対米ドルで7.0元を突破してきました。人民元安が続くかどうか、しばらく注視する必要があります。また、本日は豪準備銀行の会合があります。経済の先行きについてどのような見解を示すのか?この点も注目です。
小康状態のウイルス相場
中国金融当局による臨時の資金供給(1.2兆元の供給)とリバースレポ金利の引き下げ(10bp=0.01%の引き下げ)や1月の米国ISM製造業景況指数が50.9と持ち直したことが意識され、週明けの米国株式市場では主要3指数がそろって反発した。米株の上昇はリスク回避ムードを和らげ、外為市場では円売り優勢の展開となった。対照的に堅調地合いとなったのが新興国通貨だった。米長期金利(以下米金利)が反発する局面は見られたが1.575%でキャップされたため、「米株の反発/米金利の低空飛行」状態がリスク性の高い新興国通貨のサポート要因となった。ウイルス相場(=新型コロナウイルスの感染リスクを意識した相場)が完全に後退したわけではないが、米株の各ボラティリティ指数-S&P500のオプション価格をベースとしたVIX、ナスダック100のオプション価格をベースとしたVXN-の動向を確認すると、未だ警戒水準(VIX:20 / VXN:25)には達していない。一見するとリスク回避ムードが後退しているように見える。だが、中国人民元(CNH-オフショア人民元)の動向を確認すると、1米ドル=7元の水準を突破してきた。焦点は今後も人民元安が続か否か、である。インプライド・ボラティリティ(1週間)の上昇は抑制されつつあるが、感染リスクの状況次第で人民元は売り圧力に直面し続けるだろう。さらなる人民元安は株式市場にとってネガティブ要因である。昨年10月以降、株式との相関性が増している円相場は、中国株と米株にらみの展開が続こう。
ボラティリティ指数
中国人民元の動向(USD/CNH)
豪ドル相場の焦点
本日は豪準備銀行(RBA)の金融政策会合が予定されている。レポート執筆時点での金利据え置き確率は77%、利下げのそれは23%となっている。今回の会合では利下げを見送る公算が高い。だが、焦点は金融政策ではなく、新型コロナウイルスとその影響による豪州経済の悪影響をRBAがどの程度警戒しているか、この点にある。豪州経済の先行きリスクを強く意識するスタンスをRBAが示すならば、豪ドルは対米ドルで重要サポートポイントであり、且つビッドが観測されている0.6670レベルを下方ブレイクする展開を予想する。このケースでの豪ドル円は下値トライとなろう。焦点は3日のレポート「人民元相場と円相場」でも指摘した71.70レベルのトライである。71.50にはビッドが観測されている。
一方、対米ドルでの上値の焦点はオプションバリアの攻防が予想される0.6750の突破である。対円ではオファーが観測されている73.00を突破できるかどうか、突破に成功する場合73円台を維持できるか、これらの点に注目したい。
豪ドル/米ドル(AUD/USD)
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