決算発表前、相場のことは相場に聞いてみよう
米国ウィークリー 2020年4月14日号
- 4/14より米国企業の1-3月期決算発表が始まる。2019年の米国株式相場を振り返ると総じて堅調に推移したと言えるが、ダウ工業株30種平均(NYダウ)は、1-3月期決算発表が行われていた最中の4月下旬、および4-6月期決算発表が開始された7月中旬に相場が上昇一服となり、下落に転じる局面があった。NYダウは3/23の安値18,213ドルから4/9高値24,008ドルまで約32%上昇しており、短期的に過熱感が出やすい局面かも知れない。決算発表のタイミングが上昇一服になりやすい面があることは要注意だろう。
- 決算発表を前にして米国株式相場の特徴を掴む上で、「相場のことは相場に聞け」という格言に従い、個別銘柄の物色動向を分析してみたい。そこで、米国株の代表的株価指数であるS&P500構成銘柄の株価について、4/9終値基準で年初来上昇率上位30銘柄と昨年来上昇率上位30銘柄を比較してみると、13銘柄がその両方に重複していることが分かる。Bloomberg社の業種分類に従うと、「REIT(不動産投資信託)」が無線通信インフラ事業のSBAコミュニケーションズ(SBAC)、相互接続データーセンターへ投資するエクイニクス(EQIX)、ワイヤレス通信用のタワーやその他インフラを所有運営するクラウン・キャッスル・インターナショナル(CCI)、およびワイヤレス通信・放送用タワーの保有・運営・開発を行うアメリカンタワー(AMT)の4銘柄を占める。REITといっても実体は5G通信のインフラ関連銘柄であると言えそうである。
- 「インフラ・ソフトウエア」がサイバーセキュリティ企業のノートンライフロック(NLOK)、およびインターネットコンテンツとアプリケーションの高速かつ安全な配信を手がけるアカマイ・テクノロジーズ(AKAM)の2銘柄を占める。その他は1銘柄ずつとなり、「バイオテクノロジー」がC型肝炎ウイルス治療薬などを扱うバイオ医薬品企業のバーテックス・ファーマシューティカルズ(VRTX)、「貴金属」が全米最大の産金会社であるニューモント(NEM)、「情報サービス」が金融・投資に係るインデックスで知られるMSCI(MSCI)、「半導体素子」がGPUを扱うエヌビディア(NVDA)、「加工食品」がハーゲンダッツなどブランド食品を有するゼネラル・ミルズ(GIS)、「大規模小売店」がディスカウント小売店を営むダラー・ゼネラル、および「容器・包装」が金属製容器を製造するボール(BLL)である。バイオテクノロジーや小売業だけでなく、5G関連インフラや安全・高速な通信環境を支える企業が物色の中心になっているのが米国株物色の現状と言えるだろう。
S&P500業種別およびNYダウ構成銘柄の騰落率(4/9現在)
■主な企業決算の予定
●4月14日(火): ハウメット・エアロスペース、ウェルズ・ファーゴ、ファスナル、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、ファースト・リパブリック・バンク、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー
●4月15日(水):ゴールドマン・サックス・グループ、シティグループ、ユナイテッドヘルス・グループ、USバンコープ、PNCファイナンシャル・サービシズ・グループ、バンク・オブ・アメリカ
●4月16日(木):キーコープ、インテュイティブサージカル、アボットラボラトリーズ、ブラックロック、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン
●4月17日(金):ステート・ストリート、シチズンズ・フィナンシャル・グループ、リージョンズ・ファイナンシャル、カンザスシティー・サザン、シュルンベルジェ
●4月20日(月):IBM、ハリバートン
■主要イベントの予定
●4月14日(火)
・米シカゴ連銀総裁の質疑応答、米セントルイス連銀総裁が記者会見に参加(オンライン)、IMF・世界銀行の春期会合(バーチャル形式で、17日まで)および世界経済見通し (WEO)
・米輸入物価指数 (3月)
●4月15日(水)
・米地区連銀経済報告(ベージュブック)、米アトランタ連銀総裁講演(オンライン)、米財務省半年次為替報告書の議会への提出期限
・G20財務相・中央銀行総裁会議(バー チャル形式)、国際エネルギー機関月報
・米小売売上高 (3月)、ニューヨーク連銀製造業景況指数(4月)、米鉱工業生産(3月)、米企業在庫 (2月)、米NAHB住宅市場指数 (4月)
●4月16日(木)
・米新規失業保険申請件数 (4月11日終了週)、米住宅着工件数 (3月)、フィラデルフィア連銀製造業景況指数(4月)
●4月17日(金)
・米景気先行指標総合指数 (3月)
●4月20日(月)
・シカゴ連銀全米活動指数(3月)
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
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