日英同盟の解消から95年を迎えた今年、両国は安全保障と経済の分野で新たな連携を探っている。来年3月の欧州連合(EU)離脱をめぐり厳しい状況に立たされる英国と、覇権主義的な中国や拉致・核などの問題を抱える北朝鮮に対峙する日本の思惑が一致した格好だ。
防衛分野では、陸上自衛隊と英陸軍が9月30日から10月12日まで共同訓練を実施した。陸自が米国以外の陸軍と国内で共同訓練をするのは初めてのことで、訓練は静岡県の陸自富士学校、山梨県の北富士演習場、宮城県の王城寺原演習場の3カ所で行われた。北富士演習場は、自治体と国が結んでいる使用協定で自衛隊と米軍以外の使用が認められておらず、今回に限るという条件で地元側が訓練を受け入れている。
この訓練は2017年12月に開いた日英両政府の外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)での合意に基づいており、陸自から60人、英陸軍から50人が参加。英陸軍野戦軍司令官のサンダース中将は2日の会見で、日本はアジアにおける英国の最も緊密な安全保障上のパートナーだと述べた。
またこれに先立つ9月26日には、海上自衛隊のヘリコプター空母「かが」が、南シナ海へ向かう英海軍フリゲート艦「アーガイル」と共同訓練を実施している。
日英両国は今年6月に開いたアジア安全保障会議での小野寺防衛相(当時)とウィリアムソン英国防相との会談で、将来的に戦闘機における協力の可能性に係る日英共同スタディをはじめ、防衛装備・技術協力を進めていくことでも一致している。
両国は経済面でも協力を模索している。英国のメイ首相は、EU離脱により想定される経済への悪影響を和らげることを狙い、離脱後に環太平洋連携協定(TPP)に参加する用意があると10日の議会で述べた。
これより前、フォックス英国際貿易相とハント外相もTPPへの参加に英国が関心を示していることを明らかにしており、安倍晋三首相も同国のTPP参加を歓迎していた。