ニュージーランドが次世代通信規格「5G」において中国の通信機器会社、華為技術(ファーウェイ)の製品を使う計画を却下した。機密情報を共有する協定を結んでいるアングロサクソン5カ国から成る「ファイブアイズ」のメンバーがまた1つ、ファーウェイ機器の使用禁止に動いた格好だ。
米国、英国、カナダ、オーストラリアとともにファイブアイズを構成するのがNZ。同国の大手通信事業者、スパーク・ニュージーランドは28日、5Gのネットワークにファーウェイの機器を使用する計画について、政府通信保安局が安全保障上のリスクを理由に使用申請を却下したと表明した。
これに先立ち、米国政府が日本やドイツを含む同盟国に対し、ファーウェイの機器を使わないように説得していることが明らかになっている。同盟国の重要インフラにおいてファーウェイ機器が普及した場合、不正な通信傍受や意図的な遮断など安全保障上の脅威にさらされかねないとの懸念が背景にある。とりわけ、民間通信網を経由することが多い米軍基地関連の通信に支障が及ぶことを米国は懸念する。
米国はこれらの国の通信会社に対してもファーウェイ機器を使用しないよう働きかけている。
ファーウェイ機器は2012年以降、米国市場からほぼ締め出された状態だ。さらに米国は今年8月、ファーウェイと中興通訊(ZTE)製機器を米政府機関、および政府機関と関わる企業が利用することも禁じた。
オーストラリアもこの8月に5G通信網整備へのファーウェイの参入を禁止している。
残るファイブアイズ2国の動向
ファイブアイズの残りのメンバーのうちの1つである英国は最近、ファーウェイを含む中国製通信機器に関する安全保障上の懸念を表明した。ファイブアイズの中で米国に最も近い存在であることから、英国も同様にファーウェイ機器の使用を禁止する可能性がある。
カナダは米国政府による働きかけの下、ファーウェイ機器を禁止すべきかどうか決断するための検証を行っていると発表した。
米上院情報特別委員会メンバーのマルコ・ルビオ議員(共和、フロリダ州)とマーク・ワーナー議員(民主、バージニア州)は先月、カナダのトルドー首相に対し、5G技術の構築においてファーウェイを除外するよう求めた。ドルドー首相に宛てた書簡で両議員は、ファーウェイ機器がカナダの5Gネットワークに使用されれば、米国のネットワークに対する脅威となると説明した。
米国は今年に入り、中国に関する機密情報をファイブアイズのメンバーとともに、日本やドイツとも共有し始めた。日本政府も安全保障上の理由から米政府機関などが使用を禁じたファーウェイとZTEを主要な通信インフラから除外するかどうか検討している。
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