4日前場の東京株式市場で武田薬品工業が続落。約460億ポンド(約6兆8000億円)を投じるアイルランド製薬大手シャイアーの買収計画を巡るリスクが意識され、年初来安値をうかがう展開となっている。
午前10時49分現在、61円(1.44%)安の4169円。11月30日に付けた年初来安値の4112円が再び視野に入っている。
武田は5月に合意したシャイアー買収案について、買収額のうち約3兆円を借り入れと社債発行などで調達し、約4兆円を新株発行によって賄う計画だ。買収計画を諮る臨時株主総会を5日に開催し、買収に必要な新株発行について議決権の3分の2以上の賛同を募る。
こうしたなか、市場では有利子負債の増加に伴う財務面でのリスクや、1株価値の希薄化などが意識されている。
さらには、創業一族の武田和久氏を含む同社OBの130人で構成される有志団体が、今回の買収案について、財務リスクが高く、期待されるメリットは限定的として反対を表明している。
10%弱とみられる創業家の保有株式だけでは買収阻止は難しいことから、団体は反対票の広がりを後押しするため声を強めている。
一方、武田の株式は国内外の機関投資家が66%を保有しており、米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)とグラスルイスは賛成を推奨している。
買収案は日本、米国、欧州連合(EU)、中国の規制当局から承認をすでに得ており、新株発行が決議されれば、買収手続きは早ければ来年1月8日に完了する。新会社は売上高が3兆円を超える見通し。