カナダ当局が中国の通信機器会社、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕した。対イラン制裁違反疑惑を巡る米国の要請に応じた。カナダ紙グローブ・アンド・メール(電子版)が5日報じた。
孟氏は1日にバンクーバーで逮捕され、米国が身柄引き渡しを求めているという。孟氏は同社創業者、任正非氏の娘。
複数の米メディアは4月、米司法省がイランへの違法輸出に関与した疑いでファーウェイを捜査していると伝えていた。
ファーウェイを安全保障上の脅威とみなす米政府は今年8月、ファーウェイと中興通訊(ZTE)製の機器を米政府機関、および政府機関と関わる企業が利用することを禁じており、同盟国とその企業に対しても、ファーウェイの活動を制限するよう説得している。
英国でも新たな動き
機密情報を共有する協定を結んでいるアングロサクソン5カ国から成る「ファイブアイズ」によるファーウェイに対する締め付けが一段と強化されている。孟氏の逮捕は最新の展開の1つだ。
米国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランドのファイブアイズ構成国のうち、英国とカナダを除く3カ国はすでに次世代通信規格「5G」のネットワークからのファーウェイ製機器の排除を決めている。
カナダはファーウェイ製品禁止の是非を検討しているなか、孟氏の逮捕に踏み切った。
また、英国からも新たな動きが伝えられた。同国の通信会社BTは5日、ファーウェイの製品を既存の第3世代(3G)と第4世代(4G)の基幹ネットワーク部分から排除し、5Gのネットワークの主要部品としても使用しないと発表した。
英秘密情報部(MI6)のヤンガー長官はこれに先立ち、5Gネットワークにおける中国の技術への依存の是非について国内で議論が必要だとの認識を示していた。
米国は今年に入り、中国に関する機密情報をファイブアイズのメンバーとともに、日本やドイツとも共有し始めた。日本政府も安全保障上の理由から米政府機関などが使用を禁じたファーウェイとZTEを主要な通信インフラから除外するかどうか検討している。
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