米中対立リスクに右往左往
最近は米中通商協議に対する楽観的な見方が後退中。各市場ではこの問題を意識するムードが出始めています。外為市場ではオセアニア通貨や新興国通貨が大きく動く可能性があります。また、米株が崩れる場合、円高圧力が高まるでしょう。詳細はマーケットレポートをご参照ください。
・米中対立リスクに右往左往
昨日の外為市場は米ドル買い優勢の展開となった。9月以降、米国市場では「株高/金利上昇」のリスク選好相場が続いていた。土台のひとつとなってきたのが米中通商協議の進展期待だった。しかし、ここにきて香港問題が新たな懸念材料として浮上し、且つ第1段階の通商合意が来年にずれ込む可能性があるとの報道も出てきた。米中対立リスクが意識される局面で売り圧力が高まり易い通貨は、オセアニア通貨と新興国通貨である。実際、昨日の米長期金利は1.728%まで低下する局面が見られたが、米ドル相場は上記の通貨に対して総じて上昇した(除インドルピー)。先進国通貨の中で最も下落したのは豪ドルだった(前日比-0.38%)。一方、NZドルは同比-0.25%と下落幅は限定的だった。20日のレポート「反発の土台が整ってきたNZドル」でも指摘した通り、最後のピースである米中対立が解消に向かうことになれば、積み上がったネットショートの巻き戻しが発生することを予想する。逆に米中対立リスクが再びクローズアップされる局面では、重要サポートポイント0.62を目指し下落幅が拡大しよう(対米ドル)。どちらにしてもNZドルの変動幅が拡大する展開を常に意識しておきたい。米債券市場の動向も米中対立リスクのバロメーターとして注目したい。直近は指標データよりもこの問題に右往左往する地合い(=米債買い/金利低下)となっている。価格面で現在の状況を確認すると、128ドルで二度下値がサポートされた後、このレポートで再三指摘してきた「高すぎる水準」の130-135ドルのレンジを再びトライするムードが高まっている。直近の動向を確認すると、132ドルのレベルでレジストされている。上限をこの水準と想定する場合、まだ米債価格の上昇余地はある。だが、FEDが様子見スタンスへ転じた現状を考えるならば、130ドルの突破に成功しても132ドルをトライする前に反落(=米金利が反発)する可能性が高い。よって、米金利の低下による米ドル相場の下落幅も限定的と予想する。
【米10年国債先物価格】
・ドル円 108.00トライを警戒
米株で調整の反落ムードが漂い始めている。米金利の低下幅が限定的でも米株が崩れる場合、米ドル安ではなく、円高圧力によりドル円の下押し圧力が高まろう。このケースで注目されるのが、108円台の維持である。直近のサポートポイント108.20レベルを一気に下方ブレイクする展開となれば、108.00トライを警戒したい。だが、米中通商協議が決裂する等、余程のリスクイベントが発生し無い限り、現時点では107.80台(11/1安値レベル)で反転すると予想する。108.20および108.00にはビッドが観測されている。米株が底堅さを維持する場合は、今月19日以降上値を抑制し始めている108.80の攻防が焦点となろう。108.90および109.00にはオファーの観測あり。
【ドル円】
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