マイクロソフト(MSFT)、2年分のデジタル変革が2ヵ月で起きるほどのクラウド需要の拡大が追い風
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- 2020/6期3Q(1-3月)は、売上高が前年同期比14.6%増の350.21億USD、純利益が同22.1%増の107.52億USDといずれも市場予想を上回ったほか、売上高、純利益ともに1-3月期として過去最高だった。
- コロナ禍に伴うテレワークの普及でクラウドサービスAzureの売上高が前年同期比61%増のほか、商用クラウド全体も同39%増と好調。
- クラウド需要の拡大は「2年分のデジタル変革が2ヵ月で起きた」と表現された。テレワークの浸透が更なる需要拡大をもたらそう。
What is the news?
2020/6期3Q(1-3月)業績は、売上高が前年同期比14.6%増の350.21億USD、純利益が同22.1%増の107.52億USDと、売上高、純利益ともに1-3月期として過去最高だった。コロナ禍に伴うテレワークの導入が追い風となり、商用クラウド業務は前年同期比39%増の133億USDとなった。うちインターネットを介在させ演算能力を提供する「Azure(アジュール)」が前年同期比61%増とクラウド事業に寄与。同じくテレワークの恩恵でビジネス特化型SNS のLinkedlnやマネジメントなどに関わる統合ソフトウェアのDynamics製品がそれぞれ同22%増、49%増と好調。一方で、パソコン供給網の混乱などでMore Personal Computing部門は同3%増と小幅の伸びだった。
商用クラウド事業の売上構成比が2年前の2018年1-3月の25%弱から3Qに38%まで上昇し同社の主力ビジネスに躍進したほか、同事業の3Qの新規契約額が前年同期比12%増となり、受注残が同24%増の890億USDに上った。受注残の50%は今後12ヵ月以内に収益として計上される見通し。また、自社株買いと配当の合計が前年同期比33%増の99億USDに達した。
How do we view this?
2020/6期4Q(4-6月)の会社計画は①Productivity and Business Processes部門の売上高が116.5-119.5億USD、②Intelligent Cloud部門の売上高が129.0-131.1億USD、③More Personal Computing部門の売上高が113.0-117.0億USD、全体では前年同期比6.4-9.1%増(358.5-367.6億USD)との見通し。主要3業務のいずれも既存契約の更新が売上高の80%前後を占めていることから、テレワークの広がりに伴う新規契約の増加により業績も上振れが期待されよう。
同社CEOのナデラ氏が4/29の電話会議で、Microsoft Teams(Microsoft 365の業務用グループウエア)のビデオ会議参加者はコロナ前までは1日当たり2,000万人程度だったのが、コロナ禍のパンデミック後に2億人以上、会議時間がのべ41億分間に上る日もあることを指摘。コロナ禍で「2年分のデジタル変革が2カ月で起きた」とクラウド分野の急伸を表現した。コロナ禍が長引くとの見通しが広まるなか、テレワークという「新しい生活様式」の浸透で同社のクラウド需要が一層高まるとみられる。
配当予想(USD) 2.02 (予想はBloomberg)
終値(USD) 200.57 2020/6/22
会社概要
1975年にビル・ゲイツとポール・アレンによって設立。アメリカ合衆国ワシントン州に本社を置く、ソフトウェアを開発、販売する会社である。1985年にパソコン用OSのWindowsを開発。1990年にWindows向けのオフィスソフトとしてMicrosoft Officeを販売開始。1995年にウェブブラウザのInternet Explorerをリリース。2001年に家庭用ゲーム機のXboxを販売。2009年に検索エンジンのBingを設立。2010年にクラウドサービスとしてAzure(アジュール)を開始した。
同社の事業セグメントは、①オフィス業務向けのソフトウエアパッケージである「Office」シリーズなどを扱うProductivity and Business Processes (PBP)部門、②クラウドプラットフォーム「Azure」やビジネス特化型SNS「Linkedln(リンクトイン)」などを手掛けるIntelligent Cloud(IC)部門、③基本ソフトOSの「Windows」やゲーム機の「Xbox」などを扱うMore Personal Computing(MPC)部門から構成される。
企業データ(2020/6/23)
ベータ値 0.88
時価総額(百万USD) 1,521,011
企業価値=EV(百万USD) 1,467,410
3ヵ月平均売買代金(百万USD) 7,371.1
主要株主(2020/6) (%)
1.VANGUARD GROUP 8.44
2.ブラックロック 6.83
3.CAPITAL GROUP COMPANIES INC 4.45
(出所:Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
本レポートの発行元:フィリップ証券株式会社〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町4番2号
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