緩和マネーは出遅れ感のあった株式市場へ流入 今週のドル円のポイントは?
今回のサマリー。世界の株式市場では新しいトレンドが発生している。株高のトレンドに連動し、米国の長期金利が地味に上昇している。株高と米金利の上昇はドル円のサポート要因となる。今週のドル円のチャートポイントは?詳細はマーケットレポートをご覧ください。
世界の株式市場を駆けめぐり始めた緩和マネー
5月の下旬以降、株式市場では新たなトレンドが発生している。
そのトレンドとは、緩和マネーが米国の株式市場だけでなく、これまで出遅れ感が意識されていた欧州や新興国の株式市場にまで流れ始めたことだ。
この点について、年初来からのパフォーマンスの推移を確認してみよう。
コロナショックによって世界の株式が急落したのが2月下旬から3月下旬にかけて。
その3月下旬、トランプ米政権の大規模な財政政策とFEDによる無制限緩和により、まずは米株が急反発する展開となった。
この動きに連動し、欧州や新興国の株価指数も反発した。
しかし、4月から5月中旬までの株高局面では、米株や世界の株式パフォーマンスに後れを取っていたことがわかる。
世界の株式動向
この流れが変わったのは、日本が緊急事態宣言の解除に踏み切った2週間前からである。
それぞれのパフォーマンスの推移を確認すると、欧州の伸びが鮮明となっていることがわかる。
そして、新興国の株式パフォーマンスも欧州に追随し、米株と世界のそれを上回る状況となっている。
これが示唆することは「緩和マネーの拡散」である。
言い換えれば「緩和マネーが世界の株式市場を駆け巡りはじめた」ということである。
このトレンドが発生した理由を考えてみよう。
これまでは「大量の緩和マネーが米株の急反発の土台となりそれに他の主要な株価指数が追随する」という構図が出来上がっていた。
しかし、その米株は高値圏まで到達している。
ナスダック指数にいたっては「最高値圏」である。
いくら緩和マネーが株高の土台といっても、現在の経済情勢を考えるならば、実体経済をかけ離れているのは明らかである。
ここからオーバーバリュー(高い水準)となった米株にのみフォーカスするのはリスクが伴う。
そこで出遅れ感の強かった株式市場が注目され、緩和マネーが急速に流れ込んでいる、これが主因であると筆者は考えている。
世界の株式動向
今週のドル円は戻りの高値を探る展開
世界的に株高のムードが高まる中、地味に上昇してきたのが、米国の長期金利(以下では米金利)である。
未だ1%以下という低空飛行の状態ではあるが、FEDの無制限緩和にもかかわらず反発の基調にある状況は、米ドル相場のサポート要因となろう。
今週のドル円は、株高トレンドの維持と米金利の反発にサポートされ、堅調地合いを維持すると予想する。
目先の焦点は3月の下旬以来となる110円台の再上昇である。
110.00はフィボナッチ・プロジェクション38.20%の水準にあたる。また、109.90および110.00にはそれぞれオファーが観測されている。
110円台へ上昇した後、この水準を維持する状況が続くならば、111円台を意識する展開となろう。
上限を3月高値111.70レベルと想定し、まずは2月20日の高値112.21を起点とした短期レジスタンスライン(今日は110.55前後で推移)のトライとなるか注目したい。
このラインの突破にも成功する場合は、フィボナッチ・プロジェクションの50.00%の水準にあたる111.25レベルのトライとなるかどうか?この点が注目される。
一方、下値の焦点だが、本日は109円台の維持となるかどうか?この点が焦点となろう。109.00にはビッドが観測されている。
長いスパンで考えるならば、上にブレイクするまで相場の上昇を抑制していた108.00が、レジスタンスからサポートへ転換するかどうか?この点に注目したい。
108円台をサポートする状況が続けば、下値のレンジが、107.00から1円切り上がったことを市場の参加者は意識するだろう。
ドル円チャート
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