市場が抱く次の焦点とドル円の短期的展望
FEDは3日、緊急利下げを実施しました。これにより米長期金利は1%を割り込む展開に。迅速な対応でしたが、市場の焦点はすでに次の焦点―FEDはいつ追加利下げに踏み切るのか?この点にシフトしています。米株の不安定な状況が続く中、ドル円の焦点は?詳細はマーケットレポートをご参照ください。
焦点は早くもFEDの追加利下げの時期へ
米連邦準備理事会(FRB)は3日、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を0.5%引き下げることを決定した。市場の後追いしかできないパウエルFRB(以下FED)にしては迅速な対応だったが、市場は早くも次の焦点-FEDの追加利下げの時期にシフトしている。
レポート執筆時点における2020年6月FOMC(6月10日開催)での予想ターゲットレートは0.9275%。つまり、今回の緊急利下げで実施したターゲットレンジの下限1.0%を下回ることになる。利下げ確率を確認すると63.7%となっているが、新型ウイルスの感染がさらに拡大する場合、追加利下げのタイミングが4月(4月29日のFOMC)に早まる可能性もある。尚、現時点での4月利下げ確率は44.5%となっている。
市場が予想する米利下げ確率
米金利の低下とドル円の下落
FEDの利下げを受け、米長期金利(以下米金利)は史上最低水準となる0.906%まで急低下する局面が見られた。これを受け外為市場では米ドル売り圧力が高まった。興味深いのは、 米株が下落したにもかかわらず、オセアニア通貨や新興国通貨が買われたことだ。中国リスクが意識される局面では、これら通貨に対して売り圧力が高まるのがこれまでのパターンだった。しかし、昨日は米ドル売りの圧力がそれら通貨売りの圧力を凌駕したということは、米金利低下の影響力の大きさを示唆している。
「FEDの利下げ再開→米金利低下→米ドル安」の状況にある中、ボラティリティが拡大傾向にあるドル円の焦点はダウンサイドリスクにある。米株のボラティリティ指数(VIX / VXN)が再び上昇し、S&P500指数のボラティリティ(=20日間の標準偏差を年率換算した値)は31.34%まで上昇している。さらにドル円のリスクリバーサルが低下基調を維持している状況も考えるならば、フィボナッチ・プロジェクションの261.80%の水準でもある107.00の完全な下方ブレイクを想定しておきたい。106円台の攻防へシフトする場合、最初の焦点は10月上旬に相場をサポートし続けた106.50の維持となろう。この水準をも下方ブレイクする場合は、ビッドが観測されている106.00トライを予想する。一方、上値の焦点は3月に入り上値をレジストしている108.60の突破となろう。108.50-60にはオファーの観測あり。
米長期金利チャート
ドル円チャート
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