NY原油が時間外で軟調 香港人権法成立で米中対立激化を懸念
・リスク資産売られる
・米原油在庫の増加も重し
ニューヨーク原油先物相場がアジア時間28日の時間外取引で軟調に推移している。米原油在庫の増加に加え、米香港人権法の成立による米中両国の対立の深刻化を懸念する売りが出た。
ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の2020年1月限は、前日比0.30ドル(0.51%)安の1バレル=58.11ドルで27日の通常取引を終了。一時、58ドルの節目を下回り、57.51ドルの安値を付けた。
時間外取引では日本時間28日午後5時13分現在、通常取引終値を0.40ドル下回る57.71ドルで推移している。
米エネルギー情報局(EIA)が発表した週間の米石油在庫統計で原油在庫が市場予想に反して増加したことが通常取引での下落要因だった。
原油在庫は前週比160万バレル増加し、7月中旬以来の高水準となった。これで5週続けての積み増しとなる。これに対して市場は41万8000バレルの減少を予想していた。
ガソリン在庫も大幅な積み増しとなり、原油需要が全般に停滞しているとの見方が広がった。
一方、石油サービス会社ベーカー・ヒューズが発表した米国の原油掘削設備(リグ)の稼働数が6週続けて減少したことは支援材料だった。稼働しているリグ数は17年3月以来の低水準となった。
香港人権法
アジア時間28日午前にトランプ米大統領が香港人権法案に署名し、同法が成立したことをホワイトハウスが発表すると、時間外取引に入った原油相場は再び下押される展開。58ドルの節目を割り込み、現時点で57.77ドルまで売られた。
同法の正式名称は「香港人権・民主主義法」。香港での人権尊重や民主主義の確立の支援が趣旨で、香港に高度な自治を認める「一国二制度」が機能しているか米政府に毎年の検証を義務付ける。19、20両日に上下両院で圧倒的な賛成多数で可決された。
一方、中国外務省は同法の成立を受け、米国による香港行政と中国の内政への重大な干渉とした上で、あからさまな覇権行為に断固反対するとの見解を表明した。
一連の動きを受けて市場はリスクオフとなり、原油や株式などのリスク資産が売られた。
また、両国の対立の深刻化が世界的な景気後退につながり原油需要が停滞するとの観測も原油相場の上値を抑制した。
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