米国株に安心感 恐怖指数の低水準続く S&P500の先行きは?
VIX指数は約3年半ぶりの低さで推移。投資家の強気はS&P500は4500台に押し上げた。しかしムード一変の可能性も。
投資家の間で米国の株式市場の先行きに対する安心感が広がっている。投資家の不安度を示すとされるVIX指数は6月半ば以降、約3年半ぶりの低水準で推移。13日に発表された個人投資家の相場見通しに関するデータでも、強気派の優位が続いていることが示された。13日のS&P500種株価指数は4日続伸し、1年3か月ぶりの4500台に到達。物価上昇の鈍化が感じられた6月の消費者物価指数(CPI)発表で、金融市場での楽観ムードが増した形だが、今後、投資家の気分が一転する可能性もある。
VIX指数は2日連続で13台
VIX指数はS&P500種株価指数(SPX)のオプション取引の動向から算出される数値。数字が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒感が強いことを意味し、「恐怖指数」と呼ばれることも多い。S&P500が値上がりするときは低くなり、値下がりするときは高くなる傾向があるとされる。
VIXを算出しているシカゴ・オプション取引所(CBOE)によると、13日のVIXの終値は13.61。前日(13.54)よりは上昇したものの、2日連続の13台となった。VIXはS&P500が強気相場入りする2日前の6月6日、2020年2月14日以来約3年4か月ぶりの13台をつけ、その後は12.91-15.44の間で推移している。
また、米個人投資家協会(AAII)が13日に発表した週次調査によると、今後6か月の相場の見通しについて強気な投資家の割合は12日の段階で41.0%。強気相場入り前日にあたる6月7日の集計以来、6週連続で40%を超えた。AAIIは強気の割合の長期的な平均値は37.5%だとしており、「長期的な平均値を6週連続で上回るのは2021年6月から7月にかけて以来だ」としている。
S&P500は4日続伸で1年3か月ぶりの4500台に
こうした中、S&P500の13日の終値は前日比0.85%高の4510.04となった。値上がりは4日連続で、4500台をつけるのは2022年4月7日以来だ。米国の金融市場では、12日に発表された6月のCPIの伸び率が事前予想を下回ったことを受けて、金利の低下と株高が進んでいる。一方、米国経済の1-3月期の成長率が前期比年率2.0%に上方修正されるといったデータも出ており、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気を冷やしすぎることなく、物価上昇を沈静化させられる「軟着陸(ソフトランディング)」の可能性を感じさせている。
ただ、投資家の楽観が長続きするかどうかはわからない。VIX指数は2020年2月半ばに13台をつけていたが、2月末には40台まで上昇。さらに3月半ばには82.69まで上がった。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けた結果で、S&P500は2月下旬から3月半ばにかけて約3割下落している。また、AAIIのデータでの強気の割合は逆張り指標として知られ、強気な投資家が多い場合は相場の反落が近づいているともされる。
投資家の楽観は好調な経済指標に裏付けられているだけに、相場のムードが今後の経済指標次第で急変する可能性もある。14日から本格化する米国企業の4-6月期決算発表の結果や、経営陣が示す業績の見通しで相場が左右される場面も出てきそうだ。
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